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U-19代表候補、常連組中心の1試合目は好連係と気迫の動きも。安藤2発と滝ゴールで逆転勝ち

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前半35分、敵陣PAでインターセプトしたFW安藤瑞季が右足チップキックで勝ち越しゴール

[5.30 練習試合(第1試合) U-19日本代表候補 3-1 U-19大学選抜]

 今秋に19年U-20W杯出場を懸けたAFC U-19選手権(インドネシア)を控えるU-19日本代表候補は30日、大阪府内でU-19大学選抜と練習試合2試合を行い、第1試合はFW安藤瑞季(C大阪)の2ゴールと、MF滝裕太(清水)のゴールによって3-1で逆転勝ちした。

 代表常連組中心の陣容となった第1試合は積み重ねてきた連係面が随所で形に。影山雅永監督も「頻繁に活動できないとは言え、1年間やっている中でコンセプトがおさえられていて、攻守にこんなことをやるというのが分かっている選手たちでしたので、お互いの連係もスムーズでしたね」と振り返ったように、立ち上がりから攻守において自分たちのやるべきことを表現していた印象だ。

 加えて、指揮官は「所属のチームで出ている選手がいる一方、出ることができていない選手もいる。(所属チームでの出場機会は短くても)それを全く見せないほど躍動したというのは、それなりの準備と覚悟があったんじゃないかと。嬉しかったですね」と語っていたが、安藤やU-19代表の活動には初参加となる滝らが代表チームへの思いをぶつけるプレー。決して、90分間パーフェクトなゲームだった訳ではないが、それでも多くの選手たちはチームコンセプトに加えて個人として何ができるのかをピッチで示していた。

 4-4-2システムの先発はGK大迫敬介(広島)で4バックは右SB川井歩(広島)、CB阿部海大(岡山)、CB中川創(柏)、左SB宮本駿晃(柏)。中盤はゲーム主将の伊藤洋輝(磐田)と喜田陽(C大阪U-18)のダブルボランチで右MF堀研太(横浜FM)、左MF上月壮一郎(京都U-18)、2トップは原大智(FC東京)と安藤がコンビを組んだ。対する大学選抜は東海以西のU-19年代の選手によって構成。今年、U-19日本代表に選出されているCB安藤智哉(愛知学院大)らが同年代の代表チームに対してアピールを狙った。

 U-19代表候補はバランスを取りつつも、多少相手と入れ替わってしまうことは怖れずに前へ、前へとボールを奪いに行く。そして、攻撃面では右SB川井と左SB宮本がSHとのコンビネーションによって敵陣深くまで攻め上がり、CKを獲得。その後も上月がクロスバー直撃のドリブルシュートを放つなど、優勢に試合を進めた。

 だが22分、自陣PAやや外側の位置でFKを与えると、大学選抜MF木橋朋輝(鹿屋体育大)に見事な左足FKを決められてしまう。ただし、U-19代表候補は大迫、上月、原に代えてGK 谷晃生(G大阪)、滝、FW 佐々木大樹(神戸)へ入れ替えた直後の32分に同点ゴールを奪う。

 投入されたばかりの滝が左中間から斜めにドリブルで切れ込んでPAへ侵入。激しい接触で一度転倒したものの、粘ってボールをキープする。そしてタイミング良く出されたヒールパスを受けた安藤が、角度のない位置から右足シュートを決めた。

 さらに35分、U-19代表候補は前線からプレッシャーをかけた安藤と佐々木の2トップが相手DFを挟み込む形でインターセプト。最後は安藤がGKとの1対1から右足チップキックで決めて逆転した。止まらないU-19代表候補は、38分にも喜田の素晴らしいスルーパスで抜け出した滝が右足シュートを沈めて3-1。2点差をつけて前半を折り返した。

 後半も幾度か高い位置でボールを奪うことに成功していたU-19代表候補はサイドを崩してクロスまで持ち込む。だが、ゴール前で強さと高さを示していたCB安藤ら大学選抜DF陣に跳ね返されてしまう。

 雨の中、ゲームは徐々にペースが落ち、谷、宮本、喜田、堀、安藤に代えてGK 若原智哉(京都)、左SB 杉山弾斗(千葉)、MF 平川怜(FC東京)、上月、原を投入した16分以降もゲームは落ち着いたまま。右CKから伊藤が左足を振り抜くシーンもあったが、4点目を奪うことはできず。逆に押し返されるシーンもあったが、大学選抜に決定的なシュートは打たせずに3-1で1試合目を終えた。

 U-19代表は今回の大阪合宿後、メンバーを再編成。W杯に出場する日本代表のトレーニングパートナーも兼ねてロシア遠征を行う予定だ。選手たちにはU-20W杯アジア最終予選のメンバー入りを狙うことと同様に、日本代表と間近で接して学ぶことができる貴重な機会を掴みたいという思いもあった。

 影山監督が「競争」「チーム力の向上」の2つを求めている今回の合宿。FW安藤が「既存の選手がまだまだ頑張っていかないといけない。(新しく)来た選手はまだまだ声も出ていないですし、俺たちがどんどん引っ張って、これまでいた選手が出せていない選手たちの分も引き出せるようにというのは練習から思っていること」と語っていたが、大量31人が招集されている競争で互いにもっと刺激し合って、個人・チームをレベルアップさせる。

(取材・文 吉田太郎)

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