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[日本代表候補合宿2日目]指揮官は中村憲らを徹底指導

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[5.15 日本代表候補合宿2日目]

 予定されていた2部練習を取りやめて、午後6時45分からの1部練習のみとなった代表候補合宿2日目。アピールする時間が減った中、選手たちはそれぞれが約1時間30分の練習に集中して取り組んだ。
 24人が参加して行われたこの日、主に行われたのは6対5を2グループ作っての攻撃練習だ。FWと4人の中盤とが連携して守備網を突破するということに、練習時間の大半は割かれた。その中でイビチャ・オシム監督(66)はFW巻誠一郎(26)とFW矢野貴章(23)の2トップに中盤を右からMF太田吉彰(23)、MF藤本淳吾(23)、MF中村憲剛(26)、FW播戸竜二(27)の4人で形成したグループを徹底指導。休憩時に中村憲に約2分間、通訳を交えて身振り手振りで説明するなど、自身の考えを細かく伝えていた。
 中村憲は「5人のDFの時に1回、2回と相手を揺さぶってから突破すること。あまり急ぎすぎるなという指示だった。局面に相手を集めておいて逆サイドを狙う。“各駅停車”にならないように意識した」と語った。播戸は「選択肢はいっぱい持ってプレーしろという感じ。(オシム監督は)日本人はブラジル人じゃないんだから、持って自分が(自由に)プレーできるばかりじゃない。人のためにスペースをつくったり、考えてやらないといけないと言っていた」と指示を明かした。
 そして繰り返された練習。プレーが止まるたびに中村憲や藤本らに意見を繰り返していた指揮官も、終盤には表情が変わった。矢野が左サイドに開いて出したラストパスに、左サイドから中央の開いたスペースへ走りこんだ播戸がスライディングであわせてゴールを決めると、親指を立てながら何度もうなづいて見せた。そして中村憲がスペースをつくドリブルで突破し、藤本がゴールを破ると、両手をクロスし“練習終了”を告げた。
 今回の合宿は16日まであと1日。6月1日からはモンテネグロ代表とコロンビア代表を迎えてキリンカップを戦う。さらに7月には3連覇のかかるアジアカップが行われる。それまでの時間は決して多くない。オシム監督は「今回ケガで呼んでいない選手がいる。次回は海外組も下の年代の代表(からの召集)も考えている。彼らが入ってくれば外れる選手がいる」と厳しい口調で話した。16日は3日間のサバイバル合宿の最終日。藤本が「普段は声出さないけど、声出していく」と話すなど、それぞれが危機感を持っている。周りを活かしながら自分の色を出せるか。そして今回の短期合宿で誰がハードルを乗り越えたのか、注目が集まる。

(取材・文 吉田太郎)

<写真はオシム監督から再三指示を受けていたMF中村憲>

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