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MF高橋が個で対抗し、FW内藤追撃ゴールも……U-16日本代表は清水ユースに敗れる

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後半、U-16日本代表の攻撃を活性化したMF高橋隆大(静岡学園高)

[9.21 SBSカップドリームユース1回戦 清水ユース 3-1 U-16日本代表 草薙球]

 SBSカップ国際ユースサッカーの代替大会、「2020SBSカップドリームユースサッカー」(静岡)が21日に開幕し、1回戦で清水エスパルスユースとU-16日本代表が対戦。清水ユースが3-1で快勝した。清水ユースは22日の決勝で磐田U-18と、U-16日本代表は同日の3位決定戦で静岡ユース(静岡県高校選抜)とそれぞれ戦う。

 U-17ワールドカップの出場権を懸けたAFC U-16選手権(バーレーン、20年秋から21年へ延期)へ向けて準備中のU-16代表は4-4-2システムでGKが宮本流維(名古屋U-18)、4バックは右からSB齋藤晴(JFAアカデミー福島U18)、CB行德瑛(静岡学園高)、ゲームキャプテンのCB杉田隼(横浜FCユース)、SB石川晴大(清水ユース)。中盤は梶浦勇輝(FC東京U-18)と福井太智(鳥栖U-18)のダブルボランチで右MF橋本陸斗(東京V Jrユース)、左MF北野颯太(C大阪U-18)、そして2トップは福田師王(神村学園高)と南野遥海(G大阪ユース)が先発した。

 立ち上がり、ファーストプレーで前へ出る姿勢を見せたU-16代表だが、「2つ上として絶対に負けられない」(MF青島健大)という清水ユースに飲み込まれてしまう。前からプレッシャーをかけるもボールを奪えず、相手のサイドチェンジを交えた攻撃の前に後退。清水ユースの出足速く、連続性のある守備にも苦戦してなかなか攻撃の糸口を見出だせず、強引に攻めたところを奪われてしまっていた。

 3分に清水ユースMF伊藤滉平の決定的なヘッドGK宮本が止め、10分にもFW小塩拳生の決定的な一撃を宮本が止めた。だが、この流れから連続攻撃を受けると、小塩にゴールを破られて失点。18分にも自陣でボールを失うと、不運なオウンゴールで0-2とされてしまった。

 22分には幾度か右タッチライン際でスプリントしていた齋藤が右サイドでFKを獲得。福井の右FKに勢いよく飛び込んだ行德が頭で撃ち抜いたが、シュートはクロスバー上方へ外れてしまう。

 U-16代表は仕掛けの姿勢を見せていた橋本が福田とのコンビネーションで左サイドを抜け出すシーンもあったが、前半はCB田中芳拓、CB菊地脩太を中心に最終ラインも堅い清水ユースの前にシュートわずか1本。相手に11本ものシュートを浴びながら、GK宮本の好守などで何とか2点差で凌いだ前半だった。

 U-16代表は後半開始から福田、福井、齋藤に代えてFW内藤大和(甲府U-18)、MF坂井駿也(鳥栖U-18)、左SB植田悠太(京都U-18)を投入。石川を右サイドへ移した。内藤が裏へ抜ける動きを見せて相手の守りを広げたほか、全体的に攻撃のテンポを上げたU-16代表だったが、8分に青島のスルーパスからFW東廉に追加点を奪われてしまう。

 森山監督は「15分、20分耐える、状況が悪くても失点しないようにしないと、こういうゲームになってしまう」と指摘していたが、流れが良くなり始めた段階での失点は痛すぎた。

 それでも、14分に橋本に代えてMF高橋隆大(静岡学園高)を投入すると、高橋がボールを受けることを全く怖れずに局面へ顔を出し、パス交換。また、得意のカットインからゴール前に潜り込んでいく。17分には石川の右クロスからニアの南野がヘディングシュート。これは清水ユースGK後藤佑介のファインセーブに止められてしまったが、20分に再び石川のグラウンダークロスからニアの内藤が右足ダイレクトで鮮やかに決めて1点を返した。

 この後、U-16代表は梶浦、北野をMF大迫塁(神村学園高)とMF楢原慶輝(鳥栖U-18)へチェンジ。森山監督も評価した高橋と内藤の2人が個で清水ユース相手に対抗し、大迫の素早い展開などからアタッキングゾーンへ侵入する回数も増やした。

 35分には行德、坂井、南野をCB池谷銀姿郎(横浜FCユース)、MF桒原陸人(G大阪ユース)、MF山崎太新(横浜FCユース)へ入れ替えた。諦めずに攻め続けたが、岩下潤監督が「戦う姿勢は見せれたと思います。(終盤も)後ろの選手が踏ん張ってくれた」という清水ユースの前にクロスをブロックされるなど2点目を奪うことはできず、1-3で敗れた。

 U-16代表は相手のプレッシャーが緩んだ後半に巻き返したものの、年上の清水ユースとの差を見せつけられての敗戦。森山監督は「(上手く行かなかったりした際に)相手を困らせるためにどうすればよいか。賢い選手が増えてこないとということはずっと言っている」。加えて、「個人でも何とかできるやつが増えてくれないと」と求めていた。

 今大会は22日の静岡ユース戦を残すのみ。森山監督は「明日、もう1試合モチベーション高くやれるゲームがあるので、そこはポジティブに。ワールドカップの代表決定戦くらいの気持ちで戦えたらと思います」。攻守に課題の出た初戦から改善し、この日の後半のような戦いを序盤から展開すること。そして、勝って今後の活動に繋げる。

(取材・文 吉田太郎)

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