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「公式戦で蹴ったのは初めて」…それでも決める!! 板倉滉の強心臓ぶり

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U-24日本代表DF板倉滉(マンチェスター・シティ)

 2日前の準々決勝ニュージーランド戦。PK戦までもつれこむ死闘となった。日本のキッカーは挙手による立候補制で決まったが、2番手として登場したのはU-24日本代表DF板倉滉(マンチェスター・シティ)だった。

 東京五輪世代の年長組として、常にチームの先頭に立ってきた。強い思いがあっただろうが、本人は「そこまで考えて立候補したというより、あの場ですぐだったので『僕が蹴ります』とすんなり立候補できた」という。

 しかし、いざPK戦が始まると、プレッシャーが押し寄せてきた。「並んだタイミングで『外したらヤバイ』とも思った」。だが、いざ順番が回ってくると、気持ちを切り替えたようだ。

「自分だけでなく皆の思い、『ここで負けてられないぞ』という思いが乗っかった。ボールを置いたタイミングで今まで一緒に戦ってきたメンバーや、国民の皆さんのことも浮かんで、『ここで負けちゃダメだ』というのがブワッてきました」

 相手GKの動きを見極めた。ゆっくりとした助走からタイミングをずらすと、先にGKが動く。自身から見て右に動いたGKに対し、右足から蹴り出したボールは左側へ。きっちりとネットを揺らし、チームに勢いをもたらした。

 驚くべきことは「プロに入ってから公式戦で蹴ったのは初めて」ということ。しかし、プレッシャーの懸かる大舞台でキッカーに立候補し、見事に成功までさせた。「練習でああいう蹴り方をしていたし、自分でうまく落ち着かせて最後までGKを見てやるって言い聞かせて蹴った。その結果入って良かったです」と白い歯を見せた。

 翌3日に行われる準決勝スペイン戦ではDF冨安健洋(ボローニャ)が出場停止となり、板倉が先発出場する可能性は高い。「僕個人としては、自分がチームを勝たせたいという思いがすごくあります。次のスペイン戦、ここで負けて終わりたくないので、今まで同様しっかり準備してやるだけです」と大一番に臨む。

(取材・文 折戸岳彦)
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