beacon

難しい「アジアの戦い」が12日スタート。U-19日本代表は4試合で白星と多くのものを持ち帰る

このエントリーをはてなブックマークに追加

11日のトレーニングでDF中野伸哉(鳥栖、左)とDF桒原陸人(G大阪ユース)が競り合う

 AFC U20アジアカップウズベキスタン2023予選(2023年U-20ワールドカップアジア1次予選)に臨むU-19日本代表が11日、開催地のラオスで大会前最後のトレーニングを実施した。

 同予選は10日に開幕しているが、5チームによるリーグ戦のため、日本は第1日目の試合がなく、第2日目の12日19時(日本時間21時)に行われる開催国ラオスとのゲームが開幕ゲームとなる。

 現地に適応する時間もないままに迎える試合の相手がホスト国というのは、簡単ではない。2019年に行われたアジア1次予選では、U-15日本代表がマレーシアに引き分け、U-18日本代表がベトナムに引き分けるなど、近年急速に力をつけてきた東南アジア勢に対して日本が難しいゲームを強いられてきた経緯もある。実際にラオスの初戦をスタジアムで視察し、「何人か危険な選手がいるし、『やるな』と感じた」と話す冨樫剛一監督も気を引き締める。

「自分も(U-18日本代表コーチとして)ベトナムと分けているし、他のグループを観ていても『あれ?韓国?』みたいなことが起きている。実際にこっちへ来て予選を戦ってみた人じゃないと分からない、アジアの難しさがある」

 この日のグラウンドも雨水があちこちに溜まったままの状態で、いわゆるピッチコンディションは最悪に近い状態だった。スタジアムのピッチに関しても、1週間で10試合をこなすことから「最後の試合では芝がなくなっていると思っている」と冨樫監督は冗談混じりに「覚悟している」旨を強調する。また選手たちが次々に戸惑いを口にしたのが“土”の違いだ。

「こういう赤土に選手たちは『なんだこれ』となってますよね。ただ、これを『良いグラウンドではないから』と言うのはちょっと違うと思っていて、『違うグラウンド』なんだということ。これに合わせてプレーを変えていく必要があるのであれば、しっかり変えていくということでしかない」

 DF田中隼人(柏)も、ピッチについては率直に驚いたことを語りつつ、「自分は本来どんどん縦パスを入れたりしていくスタイルですが、シンプルにプレーすることも考えないといけない」と環境にアジャストしながら戦っていく重要性を強調する。

 コロナ禍の影響で国際経験を積んでいる選手が絶対的に少なく、「東南アジアに来るのは初めて」と語る選手も多いため、気候や食事などの「違う環境」の中で戦う難しさを痛感する大会にはなりそうだ。指揮官も「いつもと同じようにトレーニングから、普段通りにピッチに立てるわけではない」ことになるが、逆に言えば、こうした経験を積み上げられる貴重な場でもある。

 冨樫監督は「ヨーロッパ、南米だけではない。(選手たちには)ここで本当にいろいろなものを感じてほしいと思っているし、この一次予選を通じて、たくさんのものを持って帰れると思っている」とも強調する。

 まずは12日、ラオスとの初戦から。

「アジアの予選は『10-0で勝った、1-0で勝った、0-0で引き分けた』ではなく、『1-0で全部勝った』で構わない場所。この大会ではまずしっかり4勝するのがアジアの戦いだと思っている」(冨樫監督)

 この1次予選4試合を通じてチーム力を蓄え、来年3月のアジア最終予選(U20アジアカップ)、そして5月のU-20ワールドカップへ。コロナ禍を経てリスタートした新世代の世界への挑戦、その第一歩がいよいよ始まる。

(取材・文 川端暁彦)
●【特設】AFC U20アジアカップウズベキスタン2023予選特集

TOP