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戸惑いすら感じる戦いも、ブレずに無失点…U-19日本代表DF田中隼人「イエメンは独特な感じがあった」

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U-19日本代表DF田中隼人(柏)

[9.18 U20アジアカップ予選 U-19日本代表 1-0 U-19イエメン代表 ラオス]

「持たされているというか、フリーすぎるくらいだった」

 U-19日本代表DF田中隼人(柏)は、戸惑いすら感じていたと振り返る。

 AFC U20アジアカップウズベキスタン2023予選」(ラオス)の最終節、日本は中東のイエメンと対峙していた。

 後方からボールを動かしてビルドアップを試みる日本に対するイエメンの戦術はマンツーマンディフェンスでの対応である。インサイドハーフから前の選手たちは全てマークが貼り付いており、田中らが後方で持ったときの出しどころがない。ピッチコンディションを考えたとき、リスクのあるパスやドリブルを最終ラインから選択しづらいこともあって、攻撃は停滞していた。

 守備に関しても、やりやすい相手ではなかった。いままで経験してきた相手とはどうも勝手が違う。

「パレスチナは欧州でプレーしている選手が多いこともあって、欧州のチームとやっているみたいな感覚があった。でも、このイエメンは独特な感じがあった」

 全体的にスローなテンポながらカウンターの好機と見るや急加速するスタイルや、「ロングボールを蹴ってくるタイミングも変わっていたし、ボールタッチのリズムも独特だった」(田中)と振り返ったように、日本のDF陣が戸惑いを見せる場面も1度や2度ではなかった。ゴール前に侵入されてあわやPKかというシーン、シュートブロックでしのいだ場面もあり、ボール支配率ほど気の休まる試合でなかったのは間違いない。

 ただ、「菊地脩太(清水)、中野伸哉(鳥栖)、松田隼風(水戸)と3試合この4人で出て無失点でやってきていて、ミスがあっても声を掛け合いながらカバーしてやれていた」(田中)。攻撃でも、チームとして徐々に修正し、相手のやり方に慣れたこともあって田中のパスが起点としても機能するようになっていく。最終的に得点はセットプレーから生まれると、残りの時間も隙を見せずに逃げ切った。

 チームとしては反省材料も多い試合となり、田中自身も「これを良い経験として、チームとしてもっと成長していかないといけない」と振り返る。ただ、その中でも「無駄なリスクは避けて(失点)ゼロでいく」(田中)という点はブレることなく、全試合完封を達成。アジア予選で最も重要な「結果」はしっかり出し切ってみせた。

(取材・文 川端暁彦)

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