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なでしこJの司令塔は7発圧勝にも慢心なし…長谷川唯「世界の相手だとできないこともできてしまった」

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MF長谷川唯(マンチェスター・C)

[7.5 練習試合 日本女子代表 7-0 オルカ鴨川 JFA夢フィールド]

 なでしこジャパン(日本女子代表)は5日、千葉市内での合宿最終日にオルカ鴨川FC(なでしこ1部)とのトレーニングマッチ(40分×3本)を行い、さまざまな得点パターンを見せて7-0の圧勝を収めた。

 それでも試合後、中盤の要を担うMF長谷川唯(マンチェスター・C)は「ウイングバックがフリーで持てたり、そこからインサイドハーフが斜めに抜けて行けるシーンがあったり、なかなか世界の相手だとできないことも今日はできてしまっていた部分もあった」と冷静に振り返りつつ、約2週間後の女子W杯開幕に向けて「自分たちでできているという感覚にならずに、それも一つの選択肢だと思って次の練習から取り組んでいかないといけない」と力を込めた。

 長谷川はこの日、1本目と2本目途中までの約70分間にわたって3-4-2-1のボランチでプレー。中盤の底でゲームメイクに関わり、相手のプレッシングをいなしながらボールを前進させながら、さらに1本目の32分にはセットプレー崩れの攻撃参加からDF清水梨紗のロングフィードに反応し、ヘディングでの折り返しでDF熊谷紗希のゴールをアシストしていた。

「自分がちょっと後ろに落ちすぎると前が少なくなってしまう。ボランチの一人が前に出たり、得点に絡むことができなければ上に行ったら勝てない。そこを強く意識して自分自身、気持ち前目というか、得点につながるポジションを取ろうと思っている」(長谷川)。かつては前線やサイドハーフでプレーしていた長谷川だが、長所を出そうという心掛けも実ったゴールだった。

 もっとも、世界舞台を控えるいまの状況において、国内クラブに勝ったからといってチームの出来栄えに慢心はない。試合中には周囲の選手と意見のすり合わせを積極的に行った長谷川は「ウイングバックがボールを持った時、左サイドでボールを持っている時に全体が左に寄った後、右サイドに展開した後の関わりが少ないというのがあった」との課題も指摘。冷静に世界基準を見つめ、最後までレベルアップを遂げようとしている。

 14日にはユアテックスタジアム仙台でMS&ADカップ・パナマ戦を予定しているが、「次の相手も、もしかしたらW杯に出る相手と比べたら力的にはちょっと下かもしれないので、そういうところも自分の中で頭に入れながら、相手があまり強さがなかったり、スピードがなかったりしても、相手が一番良い状態の相手を想定してゲームを進めていかないといけない」と長谷川。最後まで危機感を緩めることなく、W杯本大会に挑んでいく構えだ。

 いよいよ大舞台に臨むなでしこジャパンだが、長谷川には経験の少ない若手選手を引っ張っていくような働きも求められる。

「チームのキャプテンとして紗希ちゃんがピッチ上でもピッチ外でもまとめてくれるところはあるので、それにプラスして、自分は試合の流れを読むというか、ピッチ上で起きている流れを良い方向に変える役割を自分や(清水)梨紗を含めてしないといけない。(チームが)若いぶん勢いはあるので、その勢いがいいほうにいけばいい試合ができる。でもなかなか噛み合わなかったり、うまくいかない時に自分が落ち着かせるところと、スピードを上げるところの舵取りをしないといけない」。自身にとって2度目のW杯、長谷川は慢心せずにピッチ上の司令塔を担っていく。

(取材・文 竹内達也)
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