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⼥⼦サッカーの未来も背負い、⾃⾝初の⼥⼦W杯へ…⽥中美南「魂のこもったプレーをしたい」

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 2013年の日本女子代表(なでしこジャパン)初招集から10年。INAC神戸レオネッサFW田中美南が、念願のFIFA女子ワールドカップメンバー⼊りを果たした。前回2019年のフランス大会は、なでしこリーグ3年連続得点王の実績を持ってしても落選(同シーズンにリーグ史上初となる4年連続を達成)。その悔しさを今回のオーストラリア・ニュージーランド大会にぶつけるつもりだ。

 ゲキサカでは今回、田中のインタビューを実施。自身初となるW杯に向けた意気込み、WEリーグや女子サッカーへの思いを語ってもらった。

――W杯のメンバー入り、おめでとうございます。発表された瞬間、どのような思いでしたか。
「ポジション順だと思って構えていたので、あとの方かと思っていたんですけど、熊谷紗希、猶本光と呼ばれて、『うわっ!年齢順だ』と思った瞬間に田中美南が来て、意表を突かれたんですけど、『良かった』とホッとしました」

――発表から数日が経ち、今思うことを教えてください。
「周りからのメッセージがすごかったり、家族にも会ったりして、本当に喜んでもらえて、嬉しいというのが徐々に湧いてきました。それと同時に、合宿が始まるので、しっかりとワールドカップに向けて体を作っていかなければならないなと思っています」

――5歳でサッカーを始めたと聞いています。W杯に出場したいと思ったのは、いつ頃でしょうか。
「⼩学生の時ですね。女子のワールドカップというよりは、男子のワールドカップが当たり前のように盛り上がっていて、それを見てワールドカップに出たいと思いました」

――その夢を前回大会は叶えることができませんでした。そこからW杯出場を目指して過ごした4年間だったと思います。その日々を振り返ってください。
「ワールドカップのメンバーから外れていなければ移籍することもなかったですし、それこそ、INACに来ることはなかったと言い切れるので、外れたことで環境を変えるという決断ができました。色々な選手、監督とやることで自分自身、成長できたと思える4年間でした」


――サッカーを始めたのはお兄さんの影響ですよね。そのお兄さんやご家族からはどんな言葉をかけられましたか。
「兄は発表前から『大丈夫でしょ』と言ってくれていて、発表の次の日に家族と会ったときは、兄は『やったな!』という感じでした。母は会った瞬間、ハイテンションで『良かったね〜』ってハイタッチを求められました」

――念願のW杯が目前です。チームは2011年のドイツ大会以来となる世界⼀を目指すと思いますが、田中選手の個⼈的な目標も聞かせてください。
「やはりフォワードなので、チーム内で一番結果(ゴール)を取れる選手になることが目標です」

――得点王も狙っていますか。
「得点王も狙いつつですけど、やはりチームが勝つために得点を多く取れるかが大事。まずはチーム内で得点王を目指します」

――2011年の優勝で沸き起こった“なでしこフィーバー”を当時、高校2年生ながらも肌で感じたと思います。あの優勝が田中選手にもたらしたものは何でしょうか。
「ちょうどアンダー世代の代表合宿中にテレビで見ていたのですが、感動と鳥肌が止まらなくて、日本もワールドカップで優勝ができるんだと思えたし、シンプルにすごいというのと、日本は優勝できる力があるというのを見せてもらえたので、そこを目標にやってきました」


――2021年には日本初の女子プロリーグ(WEリーグ)ができ、サッカー少女にとって目指す場所が新たに誕生しました。そこで2シーズンを戦い、プロリーグならではの魅力や今後の課題など、感じたことがあれば教えてください。
「プロサッカー選手と名乗ることができること。やはり、それは夢としてありましたし、自分が好きなサッカーでお金をいただくことができるようになったというのは本当に魅力でした。なので、今サッカーをしている子どもたちにとっては、一つの目標になったと思います。以前は、女子プロサッカー選手は少なかったですし、ピンと来ない感じがありましたけど、それが職業としてちゃんと認められたのかなと思います。ただ、2年間このリーグを戦ってみて、課題と感じることも多く、もちろんリーグ自体の盛り上がりもまだまだですし、集客に関してもまだ少ないです。INACは良い環境でやらせてもらっていますが、他のチームの話を聞くと自分たちよりは恵まれていなかったりもする。プロ化されて聞こえは良いけど、実際、大変になっている人もいるので、そこは今後の課題。より良くすべきところだと思います」

――昨シーズンは19試合に出場し、11得点という成績です。1年を振り返ってください。
「自分のサッカー人生の中で一番しんどかった1年で、こんなにも色々な感情に振り回されるんだなと思ったし、自分自身こんなに余裕がなくなるんだとも思ったシーズンでした。ただ、それが自分の成長につながったとも言えるし、得点の部分だけでなく、それ以外のところも成長を感じられたので、良い1年でした」

――スパイクのことについても聞かせてください。現在『ナイキ ズーム マーキュリアル ヴェイパー 15 エリート FG』を履かれていますが、初めて足を入れたときの印象を教えてください。
「足に合うと思いました。これまでナイキのスパイクを履いたことがなくて、正直合わないと思っていたんです。天然皮革のスパイクをずっと履いていましたし、ナイキのスパイクは細いイメージがあって、自分の足には合わないだろうと思い込んでいたんですけど、初めて履いたときに『あ、合うな』と思いました」


――田中選手がスパイク選びで大事にしていること、こだわりは何でしょうか。そのうえで、『ナイキ ズーム マーキュリアル ヴェイパー 15 エリート FG』の気に入っているところがあれば教えてください。
「自分の足に合うかどうかが⼀番で、あとは軽さも⼤事。マーキュリアルにして良かったと思うことは、もちろん自分の足にも合うし、軽いですし、あとは見た目もかっこいい。ナイキのスパイクはデザインがかっこいい。鮮やかで、目に付く色合いで、すべてにおいて気に入っています」

――『ナイキ ズーム マーキュリアル ヴェイパー 15 エリート FG』は、アウトソールのスタッドが特徴的な形をしていますよね。
「(前のモデルに比べて)滑りづらくなりました。なおかつ軽いので、次の動作に行きやすくなりました」

――田中選手に憧れて『ナイキ ズーム マーキュリアル ヴェイパー 15 エリート FG』を手に取る子どもたちもいると思います。
「自分が子どもの頃もそうでしたけど、好きな選手が身に付けている服やスパイクってかっこよく見えますし、それを履いたら同じように上手くなるんじゃないかなって思うと思うので、自分のことを好きで憧れてくれている子どもたちがいれば、是非マーキュリアルを履いてもらいたいですね」

――最後の質問です。日本の女子サッカーを盛り上げていくためにも、W杯をどんな大会にしたいですか。
「日本代表の結果が、そのまま日本の女子サッカー⼈気に反映されると思います。個⼈的なところで言えばゴールという結果、チームで言えば優勝という結果を持って帰って来られたら、日本の女子サッカー選手を目指す子どもたちに夢を持ってもらうきっかけになるのかなと思います。また、今のアンダー世代の日本女子代表の選手たちにとって、将来の夢はなでしこジャパンだと思うので、自分がアンダーの頃になでしこジャパンを見ていたときのように、今度は逆の立場になって見せなければいけないという責任もあります。技術的な部分も見られると思うので、レベルの高い試合をしつつ、魂のこもったプレーをしたいです」



(取材・文 成田敏彬)

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