beacon

初戦快勝もパリ五輪一次予選はまだ安心できず…U-22日本代表が6-0まで選手交代を遅らせた理由

このエントリーをはてなブックマークに追加

猛暑に苦しむU-22日本代表

[9.6 U23アジア杯予選GL第1戦 日本6-0パキスタン マナーマ]

 気温35度、湿度80%の環境下で、U-22日本代表はまず初戦を白星で飾った。しかし4月にカタールで行われるU23アジアカップに確実に出場するためには、グループリーグで首位を目指さなければいけない。酷暑の中2日3連戦の初戦を勝利で終え、大岩剛監督は「勝つことが重要。しっかりと次につなげたい」と言及した。

 2024年パリオリンピック出場を目指し、U-22日本代表は今回のU23アジア杯予選で4か国総当たりのグループリーグを戦う。各11組のグループで日本はパキスタン、パレスチナ、バーレーンと同組。各組首位と各組2位の成績上位4チームが来年4月のU23アジア杯に出場できる。さらに同大会で上位3チームに入ればパリ五輪出場が決定する(4位の場合アフリカとのプレーオフに回る)。

 アジアの格下相手とはいえ、酷暑バーレーンの環境と中2日の3連戦での戦いは何が起きるかわからない。実際に開催国であるバーレーンは、パレスチナとの初戦で0-0の末、後半アディショナルタイムに痛恨の失点。地の利を生かせずに厳しい黒星を喫した。

 さらに、日本は試合前々日に14人が到着し、前日に残る9人が合流というハードスケジュール。真夏の日本からやってきた国内組は長距離移動と時差6時間に苦しみ、時差1時間のヨーロッパ組も真逆の体感温度と湿度に驚くことになる。猛暑を予想していた選手たちも、練習するたびに汗が流れ落ちるレベルの高温多湿には練習でへとへと。試合後の会見で大岩監督は、初戦のメンバー起用についてコンディション重視だったことを明かした。

 指揮官が会見で数度口にしたのは「2戦目に向けて」という言葉。初戦の勝利が最も重要だが、2試合を残して全員を疲弊させたら意味はない。最初に交代カードを切ったのは6-0で迎えた後半32分と試合終盤だったが、「タイミングは想定と違いましたけど大方はプラン通り。2戦目に向けての余裕も含めて、コーチと話して準備をした」(大岩監督)。試合を決めた先発メンバーたちは大幅なペースダウンをしながら時間を進めることで、ピッチ上での必要以上の体力消耗を抑えられた。途中出場の選手たちも大量リードの中で15分程度、体を動かすに留まった。

 グループ2位の場合、他グループの成績次第となるため、グループ首位が大前提だ。次戦の相手は初戦でバーレーンを下したパレスチナのため、日本と同勝ち点となっている。大岩監督は2戦目に向けて「重要さはまったく変わらない」と強調。「もう一度士気を上げる必要がある。リカバリーをしてしっかりと準備をしたい」と勝利への計算を進めている。

(取材・文 石川祐介)

●AFC U23アジアカップ2024予選特集ページ
石川祐介
Text by 石川祐介

TOP