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「ここがラストチャンス」。U-17日本代表復帰の左SB佐藤海宏(鹿島ユース)が課題の守備で奮闘。強みをより発揮し、世界へ

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U-17日本代表の左SB佐藤海宏(鹿島ユース)はU-17ベネズエラ代表の10番MFダビド・マルティネスと激しいマッチアップ

[9.14 国際ユースin新潟第1節 U-17日本代表 2-3 U-17ベネズエラ代表 新潟市陸上競技場]

「相手もワールドカップに出るベネズエラで、球際だったり日本じゃ出てこないようなところで足が出てきたり、ヒロ(廣山望監督)さんやスタッフから『球際で負けていたら話にならない』と試合前に言われていたので、自分自身、そこは意識して体ごとぶつけて、デュエルの部分で負けないようにということは意識してやっていました」

 年代別日本代表の活動は約1年ぶりで、これまではいずれも候補止まり。今回、U-17日本代表として国際ユースサッカーin新潟に参加している左SB佐藤海宏(鹿島ユース)が、課題の部分でも力を発揮して見せた。

 U-17ワールドカップ出場国のU-17ベネズエラ代表と球際で激しいバトル。本人は守備面が課題と自認しているが、対人守備で相手の攻撃を良く止めていたほか、セカンドボールの攻防で身体を張り、FKを獲得するシーンもあった。

 この日マッチアップしたのは、ベネズエラの10番MFダビド・エマニュエル・マルティネス・ラミレス(モナガスSC)。「スカウティングで相手の10番は自分がマッチアップでキープレーヤーという風に聞いていて、そこでやり合って負けているようじゃ上にいけないので意識していました。最初の頃は慣れなかったけれど、何回かやっているうちに自信を持って前に潰しにいけるようになった」。序盤は慣れない強度や速さに苦戦。味方の守りが崩れ、ダビド・マルティネスに2点を奪われたが、佐藤は相手のキーマンを苛つかせるほどのしつこい守りで良く対抗していた印象だ。

 廣山監督も佐藤がバトルしていたことを評価。その一方で「最後(前へ)出て行ったけれど、最後のあの欲があった上で今日くらいのプレーがあったらもっと良くなると思います」と求める。

 本来、正確な左足と推進力も備えた佐藤の強みは攻撃面。今回の合宿初日に行われたU-17北信越選抜との練習試合ではコンビネーションで左サイドを崩し、ゴールも決めている。この日は前方に位置するドリブラー、MF小竹知恩(清水ユース)のドリブルコースを作るため、攻撃参加を自重した部分があった。

 前半、狙いすました攻め上がりから抜け出してグラウンダーのラストパスを入れたほか、小竹に疲労の色が見えた試合終盤は果敢に攻め上がっていた。だが、本人は攻撃面について反省。「もっと前に出て絡んでいくことをやっていかないといけない。この前の(U-17ワールドカップの)アジアの予選を見ていると、SBだったら(湘南U-18の)小杉啓太君とかが絶対に1対1の守備で負けないし、前に出ていくところもあったのでまだなのかなと思います」。より攻守でチームに貢献することを目指していく。

「守備の面は今日のベースにして、もっと上げていくのもあるし、次の2試合からは攻撃どんどん出て行って、上下動を繰り返して行く。点に絡んだり、失点防げるかはSBの仕事だと思っているのでやっていきたい」と力を込めた。

 8強入りした日本クラブユース選手権(U-18)や首位に立つプリンスリーグ関東1部での活躍を評価されて代表復帰。チャンスがある限り、U-17ワールドカップメンバーを本気で目指していく。「去年も16の代表候補で終わって、久しぶりにこうやって呼んでもらって、ここで何か残せなかったら終わりだと思ったので、ここがラストチャンスだと思って、もっと自分を出してやっていきたいと思っています」。国際ユースin新潟は残り2試合。早生まれの高校2年生DFが、現在の力を全て出し切る。

(取材・文 吉田太郎)

●U-17ワールドカップ2023特集ページ
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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