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U-17日本代表が練習試合でU-17北信越選抜に4-1で勝利。空気感から変え、国際ユースin新潟で世界相手に「何ができるか」示す

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2本目6分、U-17日本代表はFW鈴木大馳(鳥栖U-18)が勝ち越しゴール

[9.12 練習試合 U-17日本代表 4-1 U-17北信越選抜]

 U-17ワールドカップ(11月開幕、インドネシア)を控えるU-17日本代表が12日、国際ユースサッカーin新潟(14~18日、新潟)へ向けた新潟合宿をスタート。合宿初日にU-17北信越選抜と練習試合(35分×2本)を行い、4-1で勝った。
 
 今回のU-17日本代表は、今月3日から12日までフランス遠征を行ったチームと異なる18人で構成されている。U17アジアカップ優勝メンバーの大半は、フランス遠征に参加。唯一GK上林大誠(山形ユース)が国際ユースin新潟メンバーに加わり(12日にMF山口豪太、昌平高が辞退)、約半数はU-16世代からの選出となっている。

 国際ユースin新潟では、ともにU-17ワールドカップに出場するベネズエラとニュージーランド、そしてU-17新潟選抜と対戦。参加選手たちにとっては、U-17ワールドカップメンバー21名入りへの貴重なアピールチャンスだ。

 練習試合1本目はGKピサノアレクサンドレ幸冬堀尾(名古屋U18)、右SB森壮一朗(名古屋U-18)、CB木吹翔太(広島ユース)、CB田中玲音(東京実高)、左SB江口拓真(神戸U-18)、MF川合徳孟(磐田U-18)とMF布施克真(日大藤沢高)のダブルボランチ、この日追加招集された右SH加治佐海(川崎F U-18)、左SH西川宙希(C大阪U-18)、前線にFW前田勘太朗(横浜FCユース)とFW神代慶人(熊本ユース)が並ぶ11人でスタートした。

 立ち上がり、U-17日本代表は前田が繰り返し裏抜けにチャレンジ。そこへ加治佐や川合からパスが通り、フィニッシュへ持ち込んだ。対するU-17北信越選抜は、相手を見ながらビルドアップ。最前線のFW吉村征也(金沢U-18)がボールを収め、機動力のあるFW佐々木晄汰(松本国際高)や仕掛け役のMF伊藤晏理(松本U-18)が係る形で攻め返した。

 12分には、カウンターからMF福田優成(松本U-18)が一気に攻め上がり、伊藤がシュートを打ち切る。対するU-17日本代表は18分、右サイドの森がワンツーでエンドライン際まで切れ込み、クロス。ファーサイドの西川が折り返すと、最後は神代が左足でゴールを破った。

 先制したU-17日本代表は200cmのサイズを活かした守りを見せる木吹や江口が前に出てボールを奪い、田中がシュートブロック。また、196cmのGKピサノが相手のセットプレーやクロスを封じる。そして、布施や加治佐が中盤から飛び出すなど追加点を狙うが、なかなか攻撃のテンポが上がらず、クロスなどの精度も欠いてしまう。コンパクトさと集中力を維持して戦うU-17北信越選抜に押し返されるシーンも目立った。

 そして31分、MF中村滉希(星稜高2年)らがボールを運ぶ相手にPAまで持ち込まれると、最後は吉村に対角の右足シュートを叩き込まれてしまう。U-17日本代表はその直後、田中の縦パスで西川が抜け出したが、シュートは好守を見せていた北信越GK北一尋(金沢U-18)の正面。1-1で1本目を終えた。

 この日は、集合直後の練習試合ということもあってか、良い空気感でスタートを切ることができなかった。コーチとして帯同したフランス遠征から一足早く帰国してきた廣山望監督は、ウォーミングアップから高い基準を示す形でコーチング。雰囲気から代表チームの違いを見せて、相手を飲み込むことを求めていた。

 今回、年下の選手が多いこともあるが、廣山監督は「それじゃダメだと気付けるか。このグループの中で引っ張るやつが出てこないと」。フランス遠征組は課題もあった一方、欧州の強豪と渡り合い、イングランドに勝利。廣山監督は今回も多くの選手がチームを引っ張り、意識やプレーの基準を上げることを求めている。ハーフタイムに再び指摘を受けて迎えた2本目は自発的に動く選手が増加。11人が入れ替わったU-17北信越選抜との差を生み出した。

 2本目はGK上林、右SB森、CB木吹、CB山田佳(前橋育英高)、左SB佐藤海宏(鹿島ユース)、MF柚木創(流通経済大柏高)とMF長田叶羽(G大阪ユース)のダブルボランチ、右SH加治佐、左SH小竹知恩(清水ユース)、前線はFW鈴木大馳(鳥栖U-18)とFW神代のコンビでスタートした。

 6分、U-17日本代表は長田が敵陣でインターセプト。ラストパスを受けた鈴木が粘って左足でゴールを破る。U-17北信越選抜はCB新保瑠偉(富山U-18)やMF長谷川岳久(富山U-18)が積極的に縦パスを狙ったほか、切り替えの速さやサイドからの攻撃で対抗。だが、U-17日本代表は連動した守備でボールを奪い返して攻撃に結びつける。

 長田がコーチングで周囲を動かし、鋭くプレスバックする柚木や山田らがルーズボールを回収。また、佐藤、山田の左サイドがビルドアップを好転させた。U-17日本代表は2本目、FW前田、右SB江口、CB田中、MF布施、MF川合がそれぞれ交代出場。26分には、この日左サイドで破壊力を示していた小竹のドリブル突破から決定機を迎える。

 そして27分、再び敵陣でインターセプトした長田がそのままPAへ持ち込み、左足シュートで3-1とした。さらに31分には、左SB佐藤を起点とした攻撃で打開を図ると、最後は縦へ切れ込んだ川合の折り返しを佐藤が決めて4点目。一方で幾度か相手にゴールまでボールを運ばれていたが、上林が安定した守りを続ける。また、長谷川に打たれた終了間際の決定的なシュートは田中がブロックし、4-1で勝利した。 

 U-17日本代表は14日の国際ユースin新潟初戦で南米の強豪・ベネズエラと対戦。廣山監督はそこで世界との差に驚くのではなく、少しでも良い準備をし、「普段よりもメラメラするような状態でサッカーをさせてあげたい」と本番のワールドカップに近いメンタリティーで貴重な戦いに臨ませる考えだ。

 選手たちは、この日の空気感を反省。長田は「この雰囲気じゃ相手もワールドカップに出るチームなのでなかなか厳しいかなと思います。言われてやるよりも自分が逆に周りに言って引っ張っていきたいと思っています」。また小竹は「ワールドカップが自分の世代であるので、そこに絶対に入らないといけないですし、絶対に行って活躍するというところまで目標にこの合宿でしっかりとアピールできるようにしたい」。より周囲を巻き込んで意識高く戦うチームに。そして、それぞれの選手が世界相手に何ができるかを示し、白星を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
●U-17ワールドカップ2023特集ページ
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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