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25年9月まで親善試合なし、W杯2次予選は選手枠3減…森保Jが試される“結果”と”テスト”の両立「同時にやらないといけないのが代表」

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 日本代表森保一監督は4日、10月シリーズの国際親善試合2試合に臨むメンバー26人を発表した。11月に始まる北中米W杯アジア予選、来年1〜2月のアジアカップに向けた最後のテストマッチということもあり、初招集選手はなし。9月シリーズからの入れ替えもコンディション不良者を含めた5人にとどまり、第2次体制のベースを維持した編成となった。

 森保監督は4日の記者会見で、今回の活動のテーマについて「3月、6月、9月と同様に選手を試すことと、戦術の部分で試すこと。よりお互いの連係連動の精度が上がるように、戦術の浸透度がより深まっていくように考えている」と説明。北中米W杯アジア予選、アジア杯を念頭に置きつつも、さらに先を見据えたチームづくりをしていく姿勢を明らかにした。

「目の前の大会があって、そこに向けて調整するところは当然考えなければいけないが、世界で勝つため、W杯でチャンピオンを目指して戦うために自分たちがレベルアップしていくということをチームで共有している中、まずは自分たちがレベルアップしていくことが大切だという基本的なことを忘れてはいけない。その次に目の前の対戦相手であったり、大会に合わせていくことを考えている」

 今回のカナダ戦、チュニジア戦はカタールW杯の出場国と対戦できる貴重な機会。今後は2025年6月まで北中米W杯の2次予選と最終予選で国際Aマッチデーのスケジュールが完全に埋まっており、アジア圏外の強豪国とのテストマッチを少なくとも25年9月までは組むことができないという中、まずは主力メンバーのレベルアップを進める場とするようだ。

 もっとも森保監督は、その取り組みがアジアでの戦いにもつながると強調した。会見で指揮官は「極端な話をすると、自分たちが強ければどこと戦っても勝てるという自信を持って戦えるようにレベルアップしていくことが大切になる」と述べつつ、次のように北中米W杯予選やアジア杯を見据えた。

「相手がより守備を固めて我々に対策をしてくるのは予想できるが、その中でも我々が基本的に強いチームであること。ただ攻撃的にとかただ守備的にではなく、相手に勝つために速攻もできて遅攻もでき、真ん中からも攻めることができてサイドからも攻めることができ、良い守備から良い攻撃に、相手を受け止めてからチャンスや得点機会を作るといういろんなバリエーションを持つことができていればいい。相手がハイプレッシャーをかけてきても、引いて守ってきても、我々が持っているオプションの中で試合を優位に進め、勝つ確率を上げないといけない」

 今回対戦するカナダは昨年11月のカタールW杯直前の親善試合で1-2、チュニジアは昨年6月のキリン杯決勝で0-3でそれぞれ敗れた相手。カナダについては「監督が代わってどういう戦いをするかは未知数。個々の能力が高い選手がいることは把握できているが戦術的には分からない」としつつも、チュニジアについては「固い守備から攻撃を仕掛けてくるチームだということで、そういう意味ではアジアの戦いとも共通する相手」と指摘。さらに高いレベルのチームとの戦いを通じてアジアの戦いにも活かしていく構えを見せた。

 とはいえ26年夏の北中米W杯本大会に向けて、新たな選手層の拡大にも取り組んでいかなければならないのも事実だ。パリ五輪への出場を目指すU-22日本代表は海外遠征を中心に強化を進めているが、五輪世代に引っかからない有力選手の発掘も不可欠。カタールW杯に向けた戦いでもMF鎌田大地、MF守田英正らが初招集から主力に定着するまでになっている。

 そうした選手は強豪との親善試合だけでなく、今後のアジア予選を通じて徐々に代表チームに組み込んでいく形になりそうだ。

 公式戦でのテスト起用にはリスクも伴うが、森保監督も「公式戦と親善試合に違いはあるかもしれないが、代表活動の中では常に勝利が求められるという中で、常にJリーグで言う『プレシーズンで試すこと』と『公式戦で勝っていくこと』を同時にやらないといけないのが代表」とすでに織り込み済み。北中米W杯アジア2次予選では選手の登録枠が26人から23人に戻る見込みのため、「招集できる人数が少なくなってしまうこともあるので、より選手の選考も難しくなる。何をチャレンジしたら良いかと言うことも、勝利の次にチャレンジするところもチームとしてより精査し、試合に臨まないといけない」と葛藤もにじませるが、なんとかこの難しいミッションを両立させていく構えだ。

「11月のアジア予選でもどんな相手にもリスペクトをすることを忘れず、戦わなければいけない。やる前から結果が決まっている、勝利が決まっている大会はないし、油断や隙を見せることなく、勝利するために全員が最善の準備をし、試合でベストを尽くすことは忘れずに戦いに挑む中、戦術的な部分や選手は試せる範囲で試していきたい。戦う中でのバランスを見て、チャレンジすることを忘れることなく、勝利とチームのレベルアップを未来のために同時にできるようにしていきたい」(森保監督)

 そのような未来図をより明確に描いていくため、この10月シリーズでは、これまでの主力メンバーを中心に土台をしっかりと固めておきたいところだ。

(取材・文 竹内達也)
●北中米W杯アジア2次予選特集ページ
竹内達也
Text by 竹内達也

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