beacon

“ライバル”田中碧とのシュート対決制したMF伊藤敦樹「まずは越えていかないと」

このエントリーをはてなブックマークに追加

MF伊藤敦樹(浦和)

 追加招集でA代表デビューを果たした6月シリーズ、A代表初先発初ゴールを決めた9月シリーズを経て、Jリーグ屈指のボランチが順調に日本代表としてのステップを駆け上がっている。3回連続での代表選出となったMF伊藤敦樹(浦和)は9日の合宿初日練習後、「この場にまた来られてよかった。この代表活動でしか感じられない刺激もたくさんあるので、この1週間ちょっとの期間を大事にしていきたい」と意気込みを語った。

 伊藤は今年6月、負傷者の欠員を埋める追加招集でA代表に初選出され、エルサルバドル戦に途中出場してA代表デビュー。9月の欧州遠征では初めて正式な招集メンバーに入り、同12日のトルコ戦で初先発を果たすと、前半に豪快な左足ミドルシュートからA代表初ゴールを記録し、代表定着へのアピールを続けている。

 A代表選出は今回で3回連続。伊藤は「トルコ戦でやっとスタメンで試合に出て、いい形でアピールもできたし、またこうして選ばれてアピールの場がある。まずは試合に出るために明日からの練習でもしっかりアピールして、試合に出たら自分の持ち味を出すだけ」と力を込める。

 9月シリーズでは日本から欧州への長距離移動もこなし、代表選手としての経験値を高めた。また代表活動後もトルコ戦から中2日でJ1第27節・京都戦(△0-0)に後半45分間出場したかと思えば、その後は中国に移動し、中4日でのACL武漢三鎮戦にフル出場。さらに中3日でJ1第24節・G大阪戦に先発し、その5日後にもJ1前節・横浜FC戦にフル出場するという代表選手でもあまり例のない厳しい過密日程を過ごしてきた。

 当時を振り返った伊藤は「9月に関しては移動だったり、代表活動で自チームとは違うプレッシャーや責任も感じていた。サッカー以外でもいろいろと気を張っているので、あまり気にしないようにはしたけど、身体は正直だった」と奮闘の跡を明かし、「判断の部分で少し遅くなったりもしていた」とプレーにも影響があったことを認めた。

 それでも今月4日のACLハノイ戦ではベンチ入りしながらも温存され、先週末も公式戦がなかったため、ようやく過密日程からは解放。伊藤は「ハノイ戦は非常にいい勝ち方もできたし、身体と心を休められたのは大きかった」と前向きに述べ、13日のカナダ戦、17日のチュニジア戦に良いコンディションで向かっていく構えだ。

「選手争いも激しいし、そこで勝ち残っていけるようにしたい。来月からアジア予選、アジアカップがあってそこにも選ばれたいと思っているので、この2試合は自分にとって大切な2試合になる。しっかりと結果にこだわって、自分の持ち味を出せたらと思う」(伊藤)

 そのためにはまず、より多くの出番を得るべくアピールしていきたいところだ。合宿初日には1対1からのシュート練習で、ポジション争いのライバルとなるMF田中碧(デュッセルドルフ)ともマッチアップ。互いにスピードは上げず、シュートブロックもしないというリカバリー要素の強いものだったが、田中との対決では伊藤が勝利した。

「100%ではやらないでという感じだったので、そこまでバチバチ感はないけど……」と謙遜した伊藤だったが、「自分としてはライバルだと思っているし、まずはそこを越えていかないといけないと思う。代表での立ち位置はまだまだ田中碧選手のほうが上だと思っているので、意識しながらやっている」とライバル意識は隠さず。価値ある勝利に「まず一歩目ですね」と笑顔を見せた。

 トルコ戦でも輝きを見せたシュートは自身の持ち味でもあるだけに、次の出場機会では2試合連続ゴールにも期待がかかる。伊藤は「そのチャンスがあるので狙っていきたい。次は右足で。レッズでも左足のほうが多いので右足で決めたいですね」と連発を誓った。

(取材・文 竹内達也)

●北中米W杯アジア2次予選特集ページ
竹内達也
Text by 竹内達也

TOP