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史上2組目の親子A代表出場なるか、前川黛也が追う父・和也さんの背中「偉大だなと思うのは…」

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約2年半ぶりに日本代表に招集されたGK前川黛也

 J1初優勝に向け、首位をひた走るヴィッセル神戸の守護神が約2年半ぶりに日本代表に戻ってきた。21年3月以来の代表復帰となったGK前川黛也は「前回は自分の実力としてもまだ自信がない中での選出だった。今回はチームも首位で、結果を出しながら選ばれたということで自信を持って参加できている」と、当時との違いを強調した。

 合宿初日となった9日のトレーニングは海外組の多くが不在で、グラウンドで練習したのは前川ら国内組4人とMF田中碧(デュッセルドルフ)のみ。少人数ながらシュート練習などで鋭いセーブを見せ、「持ち前のシュートストップだけでなく、ボールを持ってないところでのスペースの消し方だったり、クロスケアだったり、ボールに触れてないときのプレーも少しずつ良くなっている。そこを生かせたら」と意気込んだ。

 前川の父・和也さんは現役時代にマツダSC、広島、大分で活躍したGK。1992年にA代表デビューし、国際Aマッチ通算17試合に出場した実績を持つ。21年3月の初招集時にはJリーグ発足後史上初となる親子2代でのA代表入りが話題になったが、試合で出場機会は訪れなかった。

 その後、昨年7月のE-1選手権でMF水沼宏太が日本代表に初選出され、同19日の香港戦でA代表デビュー。国際Aマッチ32試合出場7得点の父・貴史さんに続いて代表のピッチを踏み、史上初となる親子2代での代表戦出場を果たした。

 今月13日のカナダ戦、17日のチュニジア戦のいずれかで前川がデビューを果たせば、史上2組目の偉業となるが、前川自身、「(父が)偉大だなと思うのは、こういうところで試合に出ているということ。お父さんは複数試合(出場)を重ねているし、僕もそこを目指してやっていきたい」と力を込める。

「サッカーを始めたころから、『(サッカーを)辞める』と言っても『辞めれば』と言われるような感じで、自由にやらせてもらってきた。(代表に)選ばれても普段と変わらないLINEのやり取りで、『頑張れ。ケガに気を付けて』というぐらいだった」

 1994年生まれの前川にとって、父が日本代表でプレーしていた時期は物心つく前。「代表の試合は特に記憶がない」と苦笑いを浮かべたこともあったが、幼いころから比較されることも多かった父に肩を並べ、追い越すためにも、まずは第一歩となる代表デビューへ練習からアピールを続けていく。

(取材・文 西山紘平)

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西山紘平
Text by 西山紘平

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