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アジア最優秀コーチ賞の森保一監督が帰国「できればW杯出場を副賞に頂けたら(笑)」壇上ジョーク準備もスピーチなし

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トロフィーを手にする森保一監督

 アジアサッカー連盟(AFC)の年間最優秀コーチ賞を受賞したcl日本代表の森保一監督が1日、カタール・ドーハから成田空港に帰国し、報道陣の取材に応じた。

 AFCの年間表彰式は10月31日にカタール・ドーハで開催。森保監督は日本代表をW杯ベスト16に導いた実績が評価され、オーストラリア代表のグラハム・アーノルド監督、U-22サウジアラビア代表のサード・アル・シェフリ監督を制して初受賞を果たした。

 AFC年間表彰式はコロナ禍の2020年から行われておらず、3年ぶりの開催。日本人の同賞受賞は18年に鹿島アントラーズをAFCチャンピオンズリーグ(ACL)制覇に導いた大岩剛監督(現U-22日本代表監督)以来4年ぶりで、日本代表監督としては10年の岡田武史監督以来12年ぶりとなった。

 森保監督は報道陣の取材に「個人としてはもちろん名誉なことで非常に嬉しい思いはあるが、チームとして戦った結果の賞だと思う。スタッフ、選手のハードワークに感謝したい。チームで喜べたらと思っている。また私自身はチームの代表で受け取りに行ったという気持ちでいる」とコメント。「我々の活動を支えてくださっている方々がいるからこそ活動ができているので、感謝の気持ちを伝えたい」と話した。

 さらに森保監督は「できればご褒美としてW杯出場を副賞に頂けたらと思いますけど……」と続け、報道陣を笑わせた。このジョークは壇上でのスピーチに用意していたが、その機会がなかったため現地では披露できなかったもの。帰国の空港では「そこは自分たちで掴み取っていきたいと思います」と苦笑い気味に話した。

 森保監督は自身の指導者としての姿勢について「チームの一員であることに関しては監督もスタッフも選手も変わらない。それぞれの役割の中からチームの勝利のために何ができるかということを考えていくことが大切。みんながチームのために戦うというのを自分が率先してできるようにしたい」と語る。

 その上で「監督なのでチームの目標であったり、方向性であったりに関しては決めていかないといけないところもある。そういったところをコーチや選手とチームで共有していけるよう、しっかりと考えていかないといけない。将来像と現在地はまた違うところがあるので、しっかりと提示できるようにしていきたい」と先を見据えた。

 表彰式には現地滞在1泊という弾丸スケジュールでの出席。そうした中でもチームのために働く姿勢は変わらず、ホテルでは日頃からのルーティーンでもある代表候補選手の映像チェックに明け暮れていたという。

 ただ、表彰式の前後には出席者との交流の機会も持った様子。会場では現地のカタール関係者だけでなく、2034年ワールドカップ開催が濃厚となっているサウジアラビアの関係者も多く姿を見せており、その中には代表監督のロベルト・マンチーニ氏もいたようだ。

 マンチーニ監督や年間最優秀選手賞に輝いたFWサレム・アル・ダウサリともコミュニケーションを交わしたという森保監督は「サウジアラビアのサッカーについて質問させてもらったが、すごく力のある選手が来て、サウジアラビアのサッカーが盛り上がっていると言われていた」と明かした。

 国を挙げての取り組みで勢いに乗るサウジアラビアは来年1月開幕のアジア杯では強力なライバル。森保監督は「元々強いし、カタールW杯予選でも1勝1敗と非常に強い相手。アジア杯でも対戦するか分からないが、難敵、強敵だと思っている」と警戒しつつも、「ただ開催国のカタールであったり、グループリーグから力のある相手がいるので分析とリスペクトを持ちながら我々が最大限の力を発揮できるように準備しないといけないと思う」と大会初戦に向けて気を引き締めていた。

 奇しくもこの日は昨年のカタールW杯メンバー発表からちょうど1年。森保監督はW杯後の日々を「カタールW杯の続きかなと思いながらいろんな行動してきた」と振り返った。

「これまでサッカー日本代表を応援してくださるみなさんのために頑張って行こうと思っているので継続的な応援をお願いしますということを伝えるのもカタールW杯の続きかなと思っていたし、サッカーだけでなくスポーツ全般を応援してもらえるように、興味を持ってもらえるようにとやってきた」

 そうした指揮官の取り組みの成果もあり、日本代表への注目はカタールW杯から衰えることなく、結果としても目下6連勝中と好調を継続中。これから北中米W杯予選、アジア杯と重圧のかかる舞台も待ち構えるが、就任からの5年半の功績にふさわしいアジアの栄誉を手にした。

(取材・文 竹内達也)
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竹内達也
Text by 竹内達也

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