beacon

常連と新戦力を結ぶU-22日本代表のムードメーカー佐藤恵允「積極的にやっているつもり」

このエントリーをはてなブックマークに追加

MF佐藤恵允(ブレーメン)

 着実に主力として成長を遂げている、チーム屈指のムードメーカーだ。U-22日本代表は15日で静岡合宿3日目に突入した。始動日から一貫してテンション高くチームを盛り上げるのはMF佐藤恵允(ブレーメン)。「みんなからの期待もあるので(笑)。そこは応えていきたい」と明るく答えた。

 今夏、明治大からJリーグを飛び越えて海外挑戦を果たした。幼少のころプレミアリーグを観て海外への憧れを抱くと、多くのJクラブから関心を寄せられたが、ブレーメン行きを決断。評価次第でトップチームに上がる条件のもと、いまはBチームで研鑽を積んでいる。

 ドイツ5部相当のリーグ戦では直近2試合連続でゴールも記録した。「リーグのレベル自体はあまり高くないので」と謙そんしつつも、「もちろんそれまでゴールも決めていなかったので、相手のレベルどうこうじゃなくてゴールに絡み続けることは監督からも言われていたこと。まずゴールに直結するプレーだったり、ゴールから逆算したプレーをすごく心がけている」と日々の努力が結実していることへの手応えものぞかせる。

 約4か月が経過し、ドイツでの生活は慣れたようだ。得意料理と自負していたハンバーグ以外も「もうなんでもできます」と胸を張る。「入りたての頃より確実にドイツの生活にも慣れました」。コロンビア人の父が日本語と英語ができるため、幼少から英語を耳にしていた佐藤は「今となれば感謝」と英会話にも問題なし。ドイツ語も勉強しており、「仲間とのコミュニケーションは英語でできるけど、ドイツ語でコミュニケーションをしたりドイツのピッチにも慣れたり、徐々にコンディションは上がってきていていい感じ」と自信も見せる。

 昨年6月にウズベキスタンで開催されたU23アジアカップで追加招集され、大岩剛監督体制のU-22日本代表として正規メンバー入り。同大会でも2得点の結果を残した。その後、4度の欧州遠征はすべて招集。そのうち今年3月の欧州遠征は追加招集という形だったにもかかわらず、U-22ドイツ代表とU-22ベルギー代表という強豪国から2試合連続でゴールを奪い、頭角を現した。

 しかし、9月にバーレーンで行われたパリ五輪アジア一次予選を兼ねるU23アジア杯予選では招集されず。その直後に行われたアジア競技大会に選出された。常連組から外れたことによる“2軍”のレッテルに悔しさも覚えた。「2軍2軍みたいに言われて、そういう悔しさもあったのですごく勝ちたかった」。初招集の大学生やJリーガーを中心に据えたチームで奮闘し、2ゴールを記録。決勝で韓国に敗れたものの、準優勝の成績に貢献した。

 今回の遠征ではアジア大会からの新戦力や年下のU-20世代も徐々に増加。初対面の選手もいる中で、さまざまな立場を経験した佐藤がチームを盛り上げている。「ムードメーカーがいたほうがチームの雰囲気も良くなる。積極的にやっているつもりです」。常連と新戦力をつなぐ貴重な存在となっていた。

 もちろんプレー面でも活躍は見せる。15日の合宿3日目では初めて11対11の実戦練習を行った。左ウイングの佐藤は要所で持ち味のスピードを見せてゴールを決める。豊富な運動量で前線からの守備にも励み、好調ぶりを見せつけた。

 18日のU-22アルゼンチン代表戦には闘志を燃やす。「もう相手に不足はない。自分自身どれだけできるかというのも楽しみ。やるからには本当に勝ちたいですし、自分もゴールを決めたいですし、大学からブレーメンに行って成長した姿を証明したい」。このチームで必要不可欠な存在となるために、この合宿でさらなるアピールをするつもりだ。

(取材・文 石川祐介)
石川祐介
Text by 石川祐介

「ゲキサカ」ショート動画

TOP