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W杯の悔恨は「終わったことなので」…“因縁の地”でのアジア杯に久保建英「注目に値するプレーを」

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日本代表MF久保建英(ソシエダ)

 日本代表MF久保建英(ソシエダ)にとって、今回のアジア杯を戦うカタールは1年前に大きな悔しさを味わい、「あまり良い思い出ではなかった」という因縁の地だ。

 自身として初めてワールドカップに挑み、先発のチャンスは掴んだものの、起用されたのは本職ではない左サイドハーフ。初戦のドイツ戦、第3戦スペイン戦ともに守備に奔走した結果、出番は前半の45分間限りに終わり、後半逆転劇を見せたチームの中でその存在は陰に隠れていた。

 また決勝トーナメント1回戦・クロアチア戦は体調不良で欠場。敗退翌日の取材で「不完全燃焼だった」と悲痛な心境を明かし、大会を通じた働きにも「よく言えばチームのためにやることはやれた。悪く言えば自分のやりたいことはやれなかった。こういう大会でチームのことを優先するのは当たり前だけど、それを押し通すくらいの個が自分にはまだなかった」と葛藤をにじませていた。

 それでもあれから1年、久保は吹っ切れていた。「今は終わったことなのでギャーギャー言ってもしょうがない。今の自分の置かれている立場は前回のカタールとは違う。そこはしっかり自信を持っていきたい」。W杯直後からソシエダで大活躍を見せ、10シーズンぶりの欧州CL出場に大きく貢献。今季も序盤の9月に月間MVPに輝くと、欧州CLでもコンスタントに高いパフォーマンスを発揮し続け、世界的な評価を大きく高めてきた自負がある。

「世界に注目される選手になりたいと思ってサッカーをやっているので、今の現状は自分からしたらウェルカムだと思うし、むしろ自分の未来予想図からしたらやっとスタートラインくらいだと思う。良い感じに注目度を上げてチームに戻りたい」

 久保にとって今回のアジア杯は、悪いイメージを払拭する大会ではなく、自身の地位をもう一つ高めるための大会となる。

「プロに入ってからチームとしてのタイトルがないので、まず一つ若いうちにタイトルが欲しいなと。育成年代は何個も優勝して優勝が当たり前になっていたけど、世界レベル、大陸レベルの優勝を一つ経験しておくことが自分の今後のキャリアにも大事になってくるのかなと思います」

 現在は所属先のソシエダで痛めていた左太ももの治療などのため、調整はやや遅れているが、11日の練習から合流を果たし、「順調に仕上がっている」と久保。“因縁の地”でのアジア杯に「まずは自分を万全の状態に持っていって、チームとしても個人的にも注目されていると思うので、その注目に値するようなプレーができれば」と力強く意気込んだ。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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