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W杯敗退翌日の“リーダー宣言”から1年…堂安律「良い試練が来ていると思う」

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日本代表MF堂安律(フライブルク)

[1.19 アジア杯グループD第2節 日本 1-2 イラク エデュケーション]

 後半16分からの途中出場で勢いはもたらしたものの、決定的な仕事はできなかった。試合後、日本代表MF堂安律(フライブルク)は「圧倒的にシュートがなかったので、シュートを打たないとと思って入ってイメージ通りのプレーはできたと思う」と振り返りつつも、「早めに僕のチャンスで決めていれば変わっていた。反省できるところはして、下を向いている時間もないので切り替えたい」と前を向いた。

 立ち上がりに先制点を献上し、同点を狙った前半終了間際に追加点を許すという拙い試合運びを見せたイラク戦。チーム全体が相手のフィジカルを活かした競り合いだけでなく、セカンドボールの対応でも後れを取る場面が目立った中、堂安は投入直後から懸命な競り合いとプレスバックで違いを見せた。

「攻撃のところで1対1で崩せたとは思わないけど、守備のところでかなり1対1で奪って前に運べていた。こぼれ球も拾いながら前に前に行けた。ライン間で受けて運ぶのも意識していた。難しい戦術よりもっとベースを振り返るべきだと思っている」。自身の結果を出すためだけでなく、チームに足りないものを加えながら終盤の追い上げを牽引した。

 それでも勝利には届かなかった。試合後のフラッシュインタビューでは「自分自身チャンスはあったのでその決定機を決めれないというのは自分の課題」と厳しい口調で語った一方、ミックスゾーンではチームの課題に切り込んだ。

「この2試合、悪いなという時に失点しすぎだなと思う。悪いなというところで、なんとかあの時間を耐えられたねという試合がない。ベトナム戦もそう。悪いなりに前半を0-1で終えるとか、途中出場にこんなにクオリティーの選手がいるから、それを考えて0-1で終えるというのを全選手が共通認識にできていれば試合は変わっていたと思う」

 この敗戦で昨年6月から続いていた連勝が10でストップ。それでも堂安はこの苦境を前向きに受け止めていた。

「正直、絶対にいつか止まるわけで、その覚悟はしていた。ずっといいわけがない。悪くなった時にどれだけチームにリーダーがいるか。上手い選手だけじゃ勝てないのは全員がヨーロッパで戦っている中で分かっている。チームの中にリーダーが多ければ多いほど立て直せる力があるチームだと思っている。上手いチームから強いチームに変わっていくために良い試練が来ていると思う」

 1年前にカタールW杯決勝トーナメント1回戦でクロアチアに敗れた翌日、「ずっとエースになりたいと言っていたけど、リーダーにならなくちゃいけないと思う。リーダーになる覚悟を持って、今日からやっていきたい」と宣言していた堂安。あれから1年余りが経ち、その真価が問われる日が早くもやってきたようだ。

 まずは24日に迫るグループリーグ最終節インドネシア戦に向け、その姿勢を見せていく構えだ。「短いトーナメントに下を向いている時間はない。史上最強と言われている中で、調子に乗るなと言われている感じもする。調子に乗らないようにやっていかないといけない。集中してやりたい」と力を込めた。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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