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「10人想定は必要?」疑問に思っていたGK小久保玲央ブライアンは考え改める「対応力は日本の良さ」

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GK小久保玲央ブライアン

[4.16 U23アジア杯第1戦 日本 1-0 中国 ドーハ]

 前半17分、日本に降りかかった一発退場の大ピンチ。既に先制していたとはいえ、残り73分という長時間を耐えられるかという不安を振り払ってつかんだ勝利は、綿密なシミュレーションのたまものだった。

 好セーブ連発で無失点勝利に大きく貢献したGK小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)は日本が10人になった後のプレーについて「こういう想定もGKコーチを中心にやっていた。日本ならではの細やかさ。海外のチームやベンフィカではそういう想定の練習はしない。対応力は日本の良さでもある」と感服混じりに言った。

「自分も“10人(の想定を)やる必要ある?”と思っていたんです。そこは本当に日本のスタッフの素晴らしさ。こういう大会になると確認したりするんで、すごく良かったと思いました」とコーチングスタッフに感謝した。

 退場したのは空中戦に強いDF西尾隆矢。しかし、守備陣が慌てることはなかった。事前のミーティングでは退場者が出て10人になった場合について「どこのポジションがいなくなったらこう埋めるとか、そういうのもやっている。みんな真面目に想定してやっている。そういう細かさがゲームで現れた」と振り返った。

 不測の事態も想定内とする準備力で、チーム全体が冷静さをキープ。落ち着いたプレーを続けることにより、小久保の判断力も冴えた。後半立ち上がり、DF陣が入れ替わられて裏のスペースを取られるピンチが連発したが、一度目は相手のシュートをビッグセーブし、2度目はPA外に出てクリア。「そこのシーンは持ち味の1対1が出せたので良かったなと思います」と胸を張った。

 負ければパリ行きを逃すことになる大事な大会。「自分たちもプレッシャーになっていたりするので、この初戦で良いスタートダッシュが切れたかなと思います」。初戦で勢いづいた守護神は軽やかな口調でそう言った。

(取材・文 矢内由美子)

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矢内由美子
Text by 矢内由美子

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