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本田への期待の裏返し?遠藤トップ下の理由は「中盤がいないから」

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 日本代表は6日午後、試合会場の長居スタジアムで公式練習を行い、7日のキリンチャレンジ杯・セルビア戦に向け最終調整した。午前中に紅白戦など約1時間半の練習を行っていたため、公式練習はセットプレーの確認程度にとどめた。

 セットプレーの練習では、午前の紅白戦と同じメンバーが主力組に入った(紅白戦メンバーはこちら)。3月3日のバーレーン戦と同じ4-2-1-3のシステム。そのトップ下にはMF遠藤保仁(G大阪)が入りそうだ。

 しかし、練習後の記者会見で岡田武史監督が説明した起用の理由は、意外なものだった。

 「遠藤をトップ下に入れたのは、今回は中盤にケガ人が多くて、中盤をできる選手がいないのが(理由の)ひとつ。これはテストではない。(阿部勇樹と稲本潤一のダブルボランチも)中盤がボランチも含めて当初の予定より選択肢がなくなった方が大きい」

 確かにMF本田圭佑、MF長谷部誠、MF松井大輔という海外組が不在で、国内組でもMF中村憲剛、MF大久保嘉人、MF今野泰幸が負傷離脱中と駒不足ではある。だが、それならFWを2トップにして4-4-2にシステムを変えてもいい。まして2月の東アジア選手権までは4-4-2で戦ってきていたのだ。

 にもかかわらず、5日の練習ではMF中村俊輔をトップ下でテストし、この日は遠藤と、あくまで4-2-1-3のシステムにこだわってきた。バーレーン戦で採用した本田をトップ下に置く「本田システム」を変えたくないからこそ、システムは継続し、そこに選手を当てはめようとしている。これは本田への期待の裏返し、W杯は本田を中心に戦うという意思表明にも思える。

 不動のボランチである遠藤を本大会で突然、2列目で起用するとは考えづらい。実際、遠藤が2列目に入るのは08年5月27日のパラグアイ戦以来、約2年ぶりとなる。しかも、このときは4-2-3-1の左サイド。1トップの後ろに入る純粋なトップ下となると、実にオシム前監督時代の07年9月11日のスイス戦以来だ。

 報道陣から「あの位置は今後もありそう?」と聞かれた遠藤は「どうなんですかね。急に言われたので…」と戸惑いを隠さなかった。

 「あのポジションに入れば、よりゴールに近いし、前への意識も強くしたい。ボランチのときはいろいろバランスとか考えないといけないけど、前に入ればポジションにこだわらずやればいいし。複数のポジションができれば、メンバーを代えずにいろんなことができる。そういうチャンスだと思って、前向きにやりたい」

 遠藤は自分に言い聞かせるように話していたが、岡田監督が「テストではない」と言っている以上、今後も同様の状況が起きる可能性は極めて低い。あくまで本田が合流したときにチームがスムーズに順応するためのシステム継続。過密日程の中、2軍のセルビアと強化試合を行う意味は、ますます小さくなってきた。

<写真>練習で指示を出す岡田武史監督

(取材・文 西山紘平)

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