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阿部はユーティリティー枠でさらに前進

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阿部勇樹(浦和)が昨年10月10日のスコットランド戦以来、半年ぶりに先発出場。ボランチとしては昨年6月10日のカタール戦以来となる先発出場を果たした。

所属の浦和では今季、本来のポジションであるボランチでスーパーな活躍ぶりを見せており、この日も得意の攻撃参加が期待された。

だが、トップ下の遠藤保仁(G大阪)が下がり気味になることが多く、バランスを見る対象が稲本潤一(川崎F)だけというわけにいかなくなり、阿部は動きそのものがちぐはぐな印象。さらには前半途中、ベンチから稲本をアンカーとする「4-1-4-1」にシステム変更するよう指示されたうえに、悪い形でボールを奪われることも多く、持ち味を十分に発揮することができたとは言いにくい。

「遠藤さんがさがってきたら、極力前へ行こうと思ったし、俊さんも中に入っていく。2人と、イナさんも見ながら、バランスをとって動いていければと思った」とのコメントかたも、動き方には腐心していた様子だ。

ただ、後半、今季初めてセンターバックで試されたことからもわかるように、ユーティリティー選手としての指揮官の信頼はやはり厚い。

5月中旬のW杯メンバー発表前最後の試合だったことについては、「負けたので自己評価は分からない。勝たないとしょうがない」と表情は曇りがちだったが、「(センターバックも)やっていかないといけない。戸惑いはない」と、腹をくくっている阿部。

トルシエ、ジーコと、過去2大会の監督にW杯戦士候補とされながら、まだ届いたことのない夢舞台へ向けて、阿部がさらに一歩前進した。
(取材・文・矢内由美子)

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