beacon

栗原も"失格"…3番手のCBは今野に

このエントリーをはてなブックマークに追加

[4.7 キリンチャンレジ杯 日本0-3セルビア 長居]

 DF栗原勇蔵(横浜FM)はラストチャンスを生かせなかった。オシム前監督時代の06年8月9日のトリニダード・トバゴ戦以来、3年半ぶりの代表戦。A代表初先発となったセルビア戦は試合開始直後からピンチの連続だった。

 最終ラインの背後を何度も簡単に取られ、前半4分のピンチはゴールポストに救われたが、同15分に失点。8分後にも2失点目を喫した。

 「個人的にはもうちょいやれたというのがある。正直、悔しい」。そう言葉を絞り出すと、「1点目は取られ方が悪かった。一瞬の隙でFWが裏に出てきて、そこでラインが合ってなくて、簡単に抜かれた」と悔しそうに振り返った。

 DF中澤佑二とは横浜FMでもコンビを組んでいるが、「サイドバックとの距離とか、ラインはやっぱり全然違った」と言う。「ある意味、ぶっつけ本番のところがあって、難しかった。相手も強かったし、試しながらやる相手ではなかった。運が悪かった」。

 岡田武史監督就任後、代表に呼ばれたのは08年4月の候補合宿のみ。今回も実質、1日だけの練習期間だった。「運が悪かった」という言葉も選手が言ってはいけないと思うが、気持ちは分かる。

 DF岩政大樹にしても、2月14日の韓国戦でDF田中マルクス闘莉王の退場によって急きょ途中出場し、練習でも組んでいない中澤とのコンビに不安を露呈すると、それ以来、呼ばれていない。十分な準備期間が与えられない中でいきなりアピールしろという方が酷な話だ。

 試合後の記者会見で3バックの導入を示唆した岡田監督は報道陣から「5月からのキャンプでは3バックの練習も多くなるのか?」と聞かれ、「基本的に最初から3バックを考えているわけではない。よほどメンバーが欠けた場合。今回はサブのメンバーも欠けていたので」と話していた。

 「サブのメンバー」というのは、負傷辞退したDF今野泰幸を指しているのは明らかだ。中澤か闘莉王のどちらかが欠ければ、今野をセンターバックに起用する、あるいはこの日の後半のようにMF阿部勇樹を最終ラインに入れる。2人のユーティリティー選手がいれば、“事は足りる”というのが指揮官の考えのようだ。

 3番手のセンターバックの座をめぐっては、岩政や栗原、槙野ら数多くの選手が競争し、なんとかアピールしようと必死だったが、結局は満足なアピール時間を与えられることなく、「全員失格」のらく印を押されることになった。

<写真>日本代表DF栗原
(取材・文 西山紘平)

TOP