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[戦評]攻撃は途中まで良かった。守備は昨年のオランダ戦を思い出せ

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[4.7 キリンチャンレジ杯 日本0-3セルビア 長居]

田村修一の「視点」

 CBの脆さが出てしまった試合だった。一発のカウンターでやられてしまった。これが、カメルーンのエトーやデンマークのベントナーなら、と考えると恐ろしい。

 岡田監督はメンバーが控え組だったことを敗因に挙げていたが、これは自分でまいた種だ。サブのメンバーを試合で使ってこなかったツケが出たわけで、自業自得だと言える。守備に関しては連携ミスもあったかもしれないが、個の力。完全きスピードで負けていた。これが闘莉王と中澤のベスト布陣になったとしても、不安はぬぐえないだろう。

 攻撃面は失点するまでは良かったと思う。俊輔と遠藤、それに稲本もどんどん前に来て、パスをつないでスペースを作り、そこを突こうとするバルセロナ式のサッカーをしようとしていた。失点して、稲本をアンカーにして守りに入ってしまったが、もったいなかった。

 失点したのはあくまでもDFラインの問題であって、中盤より前線は悪くなかった。プレスをすり抜かれての失点ではないだけに、攻撃の仕方は継続してほしかった。

 後半は石川を入れてサイド攻撃を繰り出したが、これも連動性を欠いた。石川とパスの出し手だけの関係で終わり、石川のサイド攻撃から2人目、3人目が絡んで崩すというのはなかった。これは監督がやる仕事だが、ぜんぜん構築できていない。戦い方を浸透させるのが、遅いといわざる終えない。

 岡田監督は3バックを口にしたが、果たしてどうか。3バックで守りを固めるにしても、強力なカウンターが構築できなければ意味がない。カウンター攻撃も、意外と単純ではなく、オーガナイズさせるには、時間のかかる戦術だ。それにカウンターは、FWに個の力が必要になってくる。決して簡単ではない。

 日本は昨年のオランダ戦では、最後は息切れしてしまったが、前線からプレスをかけ続けて、ある一定時間までは、強豪にもうまくハマるところをみせた。もう一度、あの試合をベースに、いかに90分間、ペース配分してプレスを掛けながら、試合を運んでいくかというのを、組織として追求した方がいいのではないか。その方が、これまでの時間を無駄にしなくて済む。

(取材 フットボールアナリスト田村修一)

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