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「一緒に行きます」。香川は前夜、原委員長に電話で受諾。“揺れた”背景にあったのは?

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 南アフリカW杯の日本代表サポートメンバーに、MF香川真司が選出された。当初は11日にブンデスリーガ・ドルトムントへの移籍が決まり、その準備や調整に専念したいために難色を示していたが、16日夜に日本協会の原博実技術委員長と電話で会談。「一緒に行きます」と告げたという。
 行く、行かないで迷っていたのはドイツ移籍のことに加えて、J各クラブの強化担当者ですら理解しきれていなかった予備登録メンバー7人と、サポートメンバー4人の違いや役割など位置付けがはっきりしなかったことだった。
 これについてはさまざまな情報が流れていた。岡田監督が若手の即戦力を希望したこともあり、「サポートメンバーは、実は本登録23人に怪我人が出た場合は、入れ替え選手として優先される」とか、「単純に若手の育成枠。将来を見越して、雰囲気を経験させるだけ」などなど、不明瞭な部分が多かった。
 結局は紆余曲折を経て「2012年のロンドン五輪世代(21歳以下)で、その中心を担ってほしい選手」と定義されたが、原博実技術委員長によると香川も同様に「誤解があった。うまく伝わっていないところがあった。先に(12日に香川だけ)言ってしまって(役割などを)誤解していた部分があった」という。
 香川にしてみれば、ドイツ移籍も決まり、ましてや自分は予備登録7人にも選ばれるなど“普通の若手”とは違うという思いもあっただろう。事実、香川以外の予備登録6選手は南アに行かないで国内で調整する。香川には、突然の追加招集においても、ドイツ移籍においても、C大阪に残って練習したほうがプラスになるという思いもあったようだ。
 そこで原委員長は15日の神戸戦(長居)に視察に出向き、香川と直接会談。サポートメンバーの位置付けや、香川がなぜ必要なのかを説明。こうして何とか香川の了解を得ることができたわけだ。
 予備登録にも、サポートメンバーにも選ばれているのは香川のみ。岡田監督は入れ替え選手は予備登録の7選手から優先的に選ぶことを明かしており、攻撃選手の入れ替えが必要に迫られた場合、南アに帯同する香川が最初にセレクトされる可能性が高い。推測するに、香川を連れて行きたいという指揮官の思いもあったはずた。
 香川はクラブを通じて「国を代表して、自分も一緒に戦ってきます。応援よろしくお願いします」と意気込んでいる。サポートメンバー騒動で振り回された感はあるが、今後の日本サッカー界の将来を担うかもしれない選手の一人として、頑張ってほしいものだ。
(取材・文 近藤安弘)
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