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緊急招集で“候補”から“正式代表”になった柏FW田中、「責任というか重圧を感じる」

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 期待のレフティーFW田中順也(柏)が、A代表に緊急招集された。FW森本貴幸(ノバラ)が以前から痛めていた左足首を再負傷し、9月2日の北朝鮮戦に間に合わないとの診断が出された。ザッケローニ監督は、前日28日の川崎F戦で2得点して今季10得点の大台に乗せ、8月上旬のA代表候補合宿にも選出していた田中を呼び寄せた。

 本人もびっくりの“深夜の吉報”だった。「昨日の(夜中の)12時くらいに連絡がありました。ほんとびっくりでした。試合が終わって帰るときに、ヨンハさん(柏の北朝鮮代表MF安英学)と話をして、『頑張ってください。いや、あまり頑張り過ぎないでくださいね(笑)』と声をかけてたんですけど……。ホント不思議な感じです」。

 田中は左足首を痛めて離脱していたこともあり、28日午後6時キックオフの川崎F戦に5試合ぶりに先発復帰。さっそく2得点を決めて3-2の逆転勝ちに導いた。試合後はいつもどおりに帰宅し、翌日29日のチーム練習に備えて寝ようとしていたところ、招集の連絡が入ったという。

 8月上旬に国内組だけで行われたA代表候補合宿には追加招集で選ばれているが、メンバーはガラリと変わり、知っている選手はMF柏木陽介(浦和)、FW清武弘嗣(C大阪)だけという。「雰囲気は違いますね。緊張感があります。ほんとみんな、チームとしての一体感がある。早くとけ込めるように頑張りたい」。W杯予選という国民大注目の舞台に挑むとあり、「責任というか重圧を感じます。そういうのを1戦1戦経験して、成長していきたい」と表情を引き締めた。

 最後の最後で、それも2回続けての追加招集でW杯予選へ向けたザックジャパン入りを果たした“ルーキー”だが、かかる期待は大きい。今回、FW前田遼一(磐田)も怪我で招集が見送られており、ザッケローニ監督が北朝鮮戦で採用するとみられる4-2-3-1の1トップ候補は、FW李忠成(広島)と田中だけとなった。

 埼玉県内で行われた初日の練習では、簡単な戦術練習が行われたが、田中は李とともに1トップの位置に入り、プレスのかけ方や攻撃の組み立て方など“ザック流”を学んだ。「基本的なことが多かったですけど、動きを間違わないように真剣にやりました」。8月上旬のA代表候補合宿では4-2-3-1の左MFで試されていたが、今回は柏と同じFWでの起用とあり、より気持ちを高ぶらせている。

 くしくも、1トップを争う李とは、時間はわずかだったが、2009年に田中が特別指定選手として加入していた柏で一緒に練習をしていた。「柏でかぶっていた時よりも、学ぶことが多くなってます。盗めることは盗みたいです」と謙遜気味に話したが、李からポジションを奪うつもりでいる。

「後ろの3人がいい形でサポートしてくれる。自分は足元だけでなく、裏で受けたり、うまく起点を作れるようにしたい。チームで(ゴールという)結果は出ていますけど、他のFWとしてのプレー(ポストプレーなど)には課題が多いので頑張りたい」。田中は早くも日本代表でのプレーイメージをふくらませている。9月2日の北朝鮮戦まで時間は多くないが、試合出場に向けてアピールを続ける。

[写真]追加招集でA代表初選出となったFW田中順也

(取材・文 近藤安弘)

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