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J1再開に意気込みを語る F東京・長谷川「次の日もマリノス戦だから、負けられない」

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 いよいよJ1リーグが16日に再開する。FC東京は敵地・日産スタジアムで、横浜F・マリノス横浜との試合を戦う。横浜FMユースで育ち、今シーズンの開幕前にF東京に移籍したMF長谷川アーリアジャスールにとっては、初めての古巣との対戦だ。

「古巣のマリノスが相手ですけど、どの試合も1試合1試合、変わりはないので。もちろん、気持ちが入らないといえばウソになりますが、まずはしっかりチームが勝つために戦いたい。もちろん、自分が何かをしようという考えは、どの試合でも持っています。でも、それだけではなく、チームとして戦った上で、最終的に勝ち点3を取れるゲームができたらいい。チームのためにプレーすれば、自分自身も良いプレーができると思うし、マリノスのファンの人たちにも、成長した姿を見せることができるんじゃないかなと思います」

 F東京に加入後、瞬く間にスタメンの座をつかんだ。リーグ開幕前の富士ゼロックス・スーパー杯・柏戦(1-2)でスタメン出場し、初ゴールを挙げると、その後もコンスタントに得点を重ねた。同時に彼は瞬く間にサポーターの心もつかんだ。富士ゼロックス・スーパー杯、ACLのブリスベン・ロアー戦(2-0)を経て迎えた公式戦3試合目、Jリーグ開幕戦のアウェー大宮戦(1-0)では、一度聞けばつい口ずさみたくなるような、彼の個人チャントが歌われた。一度もホームの味の素スタジアムでプレーしていないにもかかわらず、個人のチャントがつくられたのは異例のことだ。

 ピッチに立ち続けることで、プレーにも凄味が増している。得点を挙げていた序盤戦は、同時にパスミスからピンチを招く場面も見受けられた。しかし、試合を重ねるごとにミスは減っている。「ミスを恐れるな」と繰り返すランコ・ポポヴィッチ監督の指導は、彼に浸透していた。

「ミスをしないことは心がけていますね。できるだけミスをしないことが自分のテーマ。毎試合ミスをなくすことを意識して、継続していることが、ミスが減っている要因だと思います。ただ、一番やってはいけないのはミスを恐れること。サッカーをやっていたらミスは起こるものですし、そのミスをした後にどうしていくかが大事」

 ミスを恐れることなく、自身の意思をパスで示していたことで、長谷川の狙いや特徴は、チームメイトに早く浸透していった。同時に長谷川自身も新たなチームメイトたちの特徴をつかめてきた。「試合を重ねるごとに、こういうことをやろうというみんなの意思統一ができてきている」と、手応えを口にする。

 日産スタジアムでは、自分の持ち味を最大限に見せたいと語る。その一つが、序盤戦に見せていた得点感覚だ。

「やっぱり相手が苦しい時間帯に、ボランチから(前線に)入っていくと、つかみづらいと思います。そういうのも自分の特長だと思うので、どんどん出していきたいですね。ガムシャラに前に何回も入るだけだと、中盤を空けてしまうことになるから、そこはコンビを組む人とバランスとコミュニケーションを取ることを意識しながらになります。ただ、最近はバランスを気にし過ぎて、なかなか前に行けていないので、チャンスのタイミングで行ったり、危険なエリアに入る回数を増やすことで怖い存在になると思うから、そこは意識してやっていきたいですね」

 あらためて、8年間在籍していた古巣との一戦を前に決意を聞いた。

「こういう大舞台というか、公式戦でマリノスと戦ったことがないので、どういう雰囲気になるかは分かりません。でも、良い意味で冷静に戦いたいし、ブーイングをされることは幸せなことだと思う。そういうプレッシャーを力に変えて、FC東京のために頑張りたいという気持ちが強いですね。相手には中澤佑二さんだったり、中村俊輔さんだったり、マリノス時代にお世話になった人がいる。他にも、いろんな選手たちとすごく仲が良かったし、今でも連絡をとっている選手が多いので。そういう選手たちと試合をやるのは楽しみですし、負けられないです」

 16日にJリーグで戦った翌17日には、F東京の小平グラウンドで横浜FMとの練習試合が組まれている。「次の日もマリノスと練習試合をするから、 (マリノスの選手たちに)会うと思うので、絶対に負けられないですよね」。

 青赤の長谷川アーリアジャスールは、チームプレーに徹しながら、得点を狙っていく。日産スタジアムで、「最高ですよね!」という、あのチャントを響かせるために。

(取材・文 河合 拓)

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