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横浜FCに新加入のDF中島「自分の力で『良い移籍』にする」

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 柏レイソルから横浜FCへ期限付き移籍することが発表されたのは、8日のこと。それから、わずか4日後に行われた第28節の山形戦(1-0)でDF中島崇典は、左SBに入り先発出場を果たす。19本ものシュートを浴びた劣勢の試合展開の中で、完封勝利に貢献した。

「来てすぐだったので、(出場は)どうなるかなと思っていましたが、起用してもらったからには負けたくなかったので。練習のときからレギュラー組に入っていたので、準備はできていました。結果が出て良かったです」と、初勝利を挙げた翌日の練習を終えた中島は、笑顔を見せた。

「昨日の試合は、結構、押し込まれましたが、ところどころで横浜FCとしてのやりたいことが理解できましたし、個人的には良い試合ができたと思います」

 相手に押し込まれる時間が続く中でも、球際の強さを発揮し、相手から何度もボールを奪い取った。その活躍ぶりをMF武岡優斗は「味方で良かった」と振り返ったが、昨シーズン所属していたJ1を制した柏で得た経験が大きかったと話す。

「球際は、レイソルのときに学んだことですね。あそこで行かないと、ネルシーニョ監督に怒られていたんで。あそこは意識していました」

 06年に横浜FCで、10年には福岡で、2度のJ1昇格を経験している中島は、J1昇格の難しさを知っている。実際に対戦相手が研究してくるようになったことで、持ち味のパス回しができる時間は、これまでより短くなってきた。それでも、主導権を握られながらも勝ち切れている意味は大きいと中島は語る。

「昨日も押し込まれる時間が長かったですが、その中でも我慢できました。それは強いチームの証だと思うので、良いと思います」

 シーズン途中での移籍について中島は「試合に出たいということもありましたし、かつて一緒にプレーしていた素さんと一緒にやりたかったこと。それに横浜FCがなかったら、今の自分はなかったと思うので、その恩返しがしたい」と、その理由を説明した。

 開幕から26節の富山戦まで横浜FCの左SBは、DF阿部巧が不動のレギュラーとしてフル出場を続けてきた。山形戦で、いきなり出場機会を得た中島は、チーム内のポジション争いを激化させる存在となっているが、大事なのはチームが勝つことと強調する。

「(阿部)巧には自分にはない武器があるし、自分は巧にないものを持っている。自分が出ても、巧が出ても、試合に勝てるように良い刺激を与え合っていきたい。ライバルですけど、オレもアイツを応援しているし、チームのためになれればいい」と、柏でも激しい定位置争いで成長してきた男は、定位置争いを歓迎した。

 MF寺田紳一の加入が決まった際「あと一人、最終ラインにほしい」と奥大介強化部長は語っていた。J2優勝、J1昇格を目指すチームのラストピースとなった中島は「まだ1試合なんでね。次にまた大事な試合(19日・京都戦)があるので、そこに勝って、自分の力でこの移籍を良い移籍にしたいと思います」と、語った

(取材・文 河合拓)

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