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戦略の勝利、ピクシー「フロンターレにはサッカーを楽しんでもらった」

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[8.25 J1第23節 川崎F0-1名古屋 等々力]

 この日だけは理想を捨て、結果にこだわった。DF増川隆洋、DFダニエルを出場停止で欠く名古屋グランパスは左SBの阿部翔平がCBで先発。最近はセンターフォワードでの起用が続いていたDF田中マルクス闘莉王も5試合ぶりに“本職”に戻った。

「いったん(ラインを)下げてから守備をしようという意図はあったと思う」と阿部が言うように、高い位置からプレッシャーに行くのではなく、ある程度ブロックをつくって守備の陣形を整え、カウンターから好機をうかがう。ストイコビッチ監督は「私にとってこれが初めての決断。このような戦い方は理想ではないし、こういうサッカーは好きではないが、現状に必要なサッカーだった」と、その胸中を明かした。

 ボール支配率では川崎Fに上回られ、シュート数も8本対16本。決定的なピンチもあったが、闘莉王や阿部が体を張ったシュートブロックを見せ、GK楢崎正剛のスーパーセーブもあった。攻撃陣も守備に奔走。「理想は一つだが、モウリーニョも試合によっては今日のグランパスのようなサッカーをして、ヨーロッパチャンピオンになっている」と、レアル・マドリーのジョゼ・モウリーニョ監督の名を挙げ、戦略の勝利に胸を張った。

「フロンターレにはある程度プレーをさせて、サッカーを楽しんでもらった。しかし、勝ち点はゼロだった」。狙いどおりの結果に笑みを浮かべたピクシー。不慣れなポジションで奮闘した阿部は「ポジション取りのミスもあったし、うまくいったとは言えない。60点ぐらい。チームも勝ったし、失点もゼロだったので。運も引き寄せられたと思う」とホッと胸をなで下ろしていた。

(取材・文 西山紘平)

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