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磐田復活の一年へ、山田「強さを見せるというよりは強さを出せるように」

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 クラブ史上初めてJ2を戦うジュビロ磐田のエースMF山田大記は、14年を黄金期復活へ向けて重要な1年と位置づけている。名門は昨年、4勝11分19敗の17位でJ2降格。山田や日本代表DF駒野友一、FW前田遼一ら実力者を擁しながら悪い流れを止められずに憂き目にあった。苦境を跳ね返す力が不足していたと山田はいう。今年、クラブは1年でのJ1復帰を目指してスタートを切るが、本物の力をつけるのはこれから。自分たちがJ2で横綱という存在だとは思っていない。

「力を見せるというのもそうだけど、去年の力不足を感じて、力をつけていかないといけないいう感覚の方が強い。もちろん、勝ちながら高めていくのが一番ですけど、チームとして成長しないと多分優勝できないし、上がっても、優勝とか黄金期をつくるためにはまだまだ足りないと凄く感じる。去年、ああいう中で戦い切れなかったのは自分たちの力不足だった。変なふうに引きずらないようにしなければいけない。結局メンタルが一番大事なので、謙虚に続けないといけないし、変わらないといけない。選手一人ひとりが公式戦になってやらないといけないから、その強さを一人ひとりがつけていかないといけない」と力を込めた。

 今年、戦力的にはJ2でトップクラスにあることは間違いない。ただ、まだまだ苦しい時に跳ね返す力があるかは未知数。紅白戦の中でも不安を残すゲームがあったという。元日本代表MF松井大輔が加入し、そのプレーに加えて彼の声ひとつでチームが変わる部分も感じている。またシャムスカ監督をはじめとする新しいコーチングスタッフ陣がいい雰囲気をもたらしているが、試合で結果を残すかどうかは自分たち次第。一人ひとりが昨年発揮できなかった強さをつけていかなければいけない。

 日本代表入り定着を目指す山田自身もクラブ同様により強い選手になることにこだわっている。昨年はチームリーダーとして、エースとして全てを背負い込みすぎた部分もあった。もちろん「背負ってでもやっていかなければいけない」という意識を持っているが、松井から「好きなことだけやればいい」と助言を受けて、より上手く周囲と役割分担しながらできると感じている。その中で個人としてはゴール数を伸ばすこと(昨年は8ゴール)。周囲からは2桁という期待の声もかけられる。本人は高い目標を口にするタイプではないが、周囲の声以上の結果を出すつもりでいる。

 今オフはスコットランドの名門、セルティックへ練習参加。「今の立ち位置が海外でどのレベルにあるのか、練習だけではもちろん全てが見える訳ではないけれど、足りないならば、どこが足りないか感じたかったし、通用するならばどこが通用するのか、感じたかったし、それを踏まえた上で今年国内で戦う」。本人は「今行ってもやれると思った」ほどの手応えを感じたという。その中でJ2で高い意識を持ちながら、チームとともにレベルアップする。そして強く成長を遂げる。

「(クラブとしても個人としても)強くなれるように。強さを見せるというよりは強さを出せるように、謙虚に1試合1試合勝ちにこだわっていく。個人としては上手さを見せるとかではなくて、点をたくさん取れるということを見せる。1試合1試合全力で点を取りに行って、さらに点を取れるようになるという感覚が強い。そういう意味では楽しみの方が大きい」。J2での一年となるが、チームとしても、個人としても重要な一年。磐田復活の礎を築き、自身も飛躍に繋げる1年とする。

(取材・文 吉田太郎)

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