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2人の先輩の助言に、背を押された柿谷「今までどおりサッカーを楽しむ」

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 2人の大先輩の助言が、背中を押した。スイス・スーパーリーグのバーゼルへの完全移籍が発表されたセレッソ大阪MF柿谷曜一朗は、9日に記者会見を行い、移籍を決断する上で「本当にたくさんの人に相談した」と、明かした。多くの助言を受けた中で、24歳のアタッカーの背中を押したのは、ともにC大阪でプレーし、欧州の舞台にも挑戦した経験を持つ2人の先輩の言葉だったという。

「西澤(明訓)さんと、大久保(嘉人=現川崎F)さんと、そういう話をしているときに、『行かないと分からへんことがある』って言われていました。その2人から、『そういう(欧州での)経験を積むことは大事だ』『成功するかどうかは分からへんけど、行けるときに、チャンスがあるなら行くべき』と。その言葉は、決断をするときに後押しになりました」

 ともにC大阪で、プロとしてのスタートを切った西澤と大久保。西澤は、スペインのエスパニョール、イングランドのボルトンでプレーした経験がある。大久保も、これまでにスペインのマジョルカ、ドイツのボルフスブルクに在籍していた。彼らの言葉が、「C大阪を離れるべきなのかというのを、一番、正直に迷ったというか、考えました」という柿谷の背を押した。

「やっぱり『行かないとわからへん』っていう言葉が、自分の中では、すごく後押しになったと思いますし、ほんまにその通りだなと思いましたし、しっかりやりたいなと思います。後押しというよりも、2人が(欧州に)行ったからこそ、何かつかめたものがあったと思うし、自分も『それを経験したい』と思えたことが大事だったかなと思います」

 欧州へ行けば、当然、日本語は通じない。何不自由なかった生活面でも、苦労することは多いはずだ。それでも、柿谷は「言葉は、今のところ全然(ダメ)ですが、覚えようという強い気持ちがあるので、なんとかなると思います」「今は、楽しみでいっぱい」と前向きな言葉を並べる。

「ほんまに、厳しい環境になると思いますけど、今までどおりサッカーを楽しんで、今後の自分につなげていけるように、頑張ります」

 スイスに何を持っていくか? そう問われた柿谷は、「向こうでいろいろと、また買えばいいと思っているので、あまりないですけど」と前置きをして、決して買えないものを挙げた。「みんなからのメッセージやったり、飾っていて、自分をやる気にさせてくれるようなものは、必ず持って行きたいと思います」。先輩やチームメイトたちの言葉や想いとともに、欧州へ旅立つ。

(取材・文 河合拓)

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