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J1でも通用するのか…新加入12名、試される“湘南スタイル”の継続性

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 昨シーズン、J2を戦った湘南ベルマーレは、開幕から破竹の快進撃を続けた。開幕14連勝はJ記録。9月には、史上最速となる9試合を残してのJ1自動昇格確定。終わてみれば、J2全クラブから勝利を挙げる完全優勝。42試合制では、2008年の広島(勝ち点100)を上回る、史上最多の勝ち点101を獲得した。

 湘南は昨年、好守の切り替えの早さ、カウンターの素早さでJ2リーグを席巻した。“湘南スタイル”と呼ばれるサッカースタイル。新たに12名の新戦力を加えならがらも、スタイルの継続性を持たせて、昨年同様のサッカーを見せることができるのか。今季の湘南が試されている部分だ。

 チョウ・キジェ監督は今季で4季目を迎える。これは過去12名が指揮した湘南のチーム史上、最長記録となる。「4年目だからマンネリ化したり、引き出しがもうなくて、ちょっと前と同じことしかできないと思ったら、当然、監督という仕事は引き受けてない」と、キッパリ話した指揮官は、たとえ話を出して今季にかける思いを語り始めた。

「我々はJ1に旅行に行くわけではない。J1に住みに行こうと。その場所で税金を払って、住民票を取って、隣近所と付き合いをして、それが住むということだと思う。何も恐れず、堂々と、地域のコミュニティになれるようなチームにしていかないといけない。なんとなくではなく、地に足を付けた1年間を送りたい」

 湘南は今季、「SHOW THE STYLE 証明」というチームスローガンを掲げた。これには、「挑戦」から「証明」へという強いメッセージが込められている。「今の日本のサッカーは切り替えが早いということ自体がトレンドになっている。でも世界的に見ても当たり前のことなんです」。称賛されたスタイルを「当たり前」と捕える指揮官は、最後までそのスタイルを、そしてそれを体現する選手たちを信じ続けている。

「我々は二兎追うものは一兎も得ずではなく、二兎を追わないといけない。1つの方法論しか持っていないというチームだと、必ずどこかで躓いてしまう。ただ攻撃だけやって、やられちゃったなじゃ済まないし、その逆でもない。選手たちにはトータルで選手として成長できるように働きかけたい」

「彼らの最大値を出せば、いい結果が出る。彼らを信頼するという気持ちはほかの誰にも負けちゃいけないと思っています。後ろから支えて、『このチームは生きているんだ』というのを証明していきたい」

 熱さの中にも、どことなく冷静さを感じさせる指揮官に導かれ、湘南が再び、J1に挑戦する。

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