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「小さい頃から育ててもらったクラブなので…」 湘南MF神谷優太、2アシストで古巣・東京Vに“恩返し”

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突破を試みる湘南ベルマーレMF神谷優太

[4.9 J2第7節 東京V2-3湘南 駒沢]

 自身の存在価値を十分に証明した。今季初先発となった湘南ベルマーレMF神谷優太は2アシストと結果を残すだけでなく、激しい守備で相手の攻撃の芽を摘むなど、ベンチに下がる後半21分までピッチ上を駆け回った。

「自分の仕事をやるだけだった。ビビらずに自信を持ってやろうと思っていた」。今季初めてスターティングメンバーに名を連ねた男は、自身の仕事をまっとうしようとしていた。この日、与えられたポジションとは本職のボランチより一列前のシャドー。「そこで使われたということは得点を狙え、ドンドン仕掛けろというメッセージだと思った」とゴールに迫ろうと意識していた。

 その言葉どおり、神谷はボールを受ければ積極的に縦パスを打ち込み、推進力をもたらそうとする。前半16分に東京Vに先制を許したものの、同21分にはドリブルで運んだ神谷が「上がっていくのが見えた」と前線に駆け上がるMF菊地俊介を見逃さずにパスを送ると、ボールを受けた菊地が右足シュートでネットを揺らし、すぐさま同点に追い付いた。

 さらに前半33分にFWジネイの得点で逆転に成功すると、後半9分にまたもや神谷の右足が得点を演出する。「キックには自信があった。俊介さんが自分の中で目が合ったと思ったので、そこに放り込んだ」とCKを蹴り出すと、待ち構える菊地がヘディングシュートで突き刺してチーム3点目を記録。神谷は自身2アシストに「ゴールに絡めたのはすごくうれしい」と頬を緩めた。

 守備に回れば戦う姿勢を前面に押し出し、相手選手に猛然と向かっていく。ボールを奪おうと激しく体を寄せ、球際の勝負にも幾度となく挑んだ。しかし、その結果「気合いが入り過ぎて、足がつっちゃいました」と後半21分にピッチを後にすることに。今季初の先発出場に「体力的にはまだ問題があるかもしれない」と課題を挙げつつ、「でも、気合いが空回りせずにできたし、体力面も改善していけば、もっと自分の良さを出していけると思う」と手応えも得たようだ。

 この日対戦したのは下部組織でプレーした東京V。しかし、高校2年生の途中にユースを離れて青森山田への編入を決断し、卒業後に湘南へと加入した。「ヴェルディは小さい頃から育ててもらったクラブだったので、途中で抜けて申し訳ない気持ちがいっぱいあった」と当時を振り返ったが、「今日のプレーで少しは感謝の気持ちを伝えられたと思う。自分が頑張っている姿を見せることで、ヴェルディの選手やサポーターに刺激を与えることができると思うので、これに満足することなくやっていきたい」と力を込める。自身が成長した姿を見せ続けることが、古巣への恩返しになることを信じ、さらなる成長を遂げていく。

(取材・文 折戸岳彦)
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