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“自粛50日”経た湘南チョウ監督、謝罪とともに語った心境「自分だけがそういう思いを加速させて…」

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チョウ・キジェ監督

 湘南ベルマーレチョウ・キジェ監督は4日、自身のパワーハラスメント行為に関する記者会見に急遽出席し、現状の心境を明かした。

「Jリーグおよびベルマーレに関わるみなさま、僕の問題で苦しい思いをされた全選手、スタッフのみなさま、そして将来プロを目指す子供たち、自分の至らなさでこうした事象を起こしてしまい、ご心労をおかけして誠に申し訳ありませんでした」。

 冒頭で謝罪の言葉を丁寧に紡いだチョウ監督だったが、自らの将来に関する質問が向けられると、複雑な心境を表現するかのように言葉を選びながら、ときおり言葉を探すような仕草も見せながら、ゆっくりと口を開いた。

「僕は指導者として大人だけでなく小学生、中学生、高校生と様々なカテゴリに関わる中で、選手の成長に手を貸したいというか、最終的に選手が成長したなと思うような、自分自身が乗り越えて次に向かっていけるように、見ている人に感動してもらえる選手になってほしいという一心で指導してきました。プロチームのフィールドだろうが、スクールの子供たちだろうが、全く同じ気持ちでやってきたつもりでした。

 今回このように周りの方々に迷惑をかけてしまったことは、自分自身で最も起こしてはいけないことでした。最も選手との関係性、一体感を大事にしてきたつもりなので、自分のマネジメント力の低さとか、先見性のなさとか、指導者としての浅はかさを自分の中で本当に痛切に感じている今、湘南ベルマーレとかどのチームとかいうことを考える立場にない。僕がこうしたい、ああしたいということを言葉で申し上げても全く説得力がないと思っています。

 もし許されるならば自分は人に対して、親しくても親しくなくても、嫌がらせの類とか、意地悪とか、嘘ついてその場を乗り切ろうというのは、もっとも自分の中で恥じるべき行動と思っているので、そういうものが結果的に今回、意図してではなくても起きてしまったことに向き合う時間が必要です。

 (自粛していた)この時間サッカーを集中して見ることも正直できなかったし、当たり前ですが。自分の未来については、僕がどうしたいああしたいというよりも、もし求められるものがあるならば、もし僕のこのいまの姿を真摯に見せれる場所があるならば……とは思っていますが、今日の時点で僕を育ててもらったベルマーレのコーチ陣とか、選手やスタッフににこうですと言うことはできないと思っています」。

 8月12日に指導自粛が始まって50日あまり。Jリーグの調査の影響でシーズンオフよりも長くなってしまった自粛期間において、これまで心血を注いできたサッカー以上に、自らの過去と向き合う時間になっていたという。

「Jリーグの中でも長く一つのチームを指揮した立場であったので、とにかくチームを強くしようとか、選手を成長させようというのは、就任初年度より2年目、2年目より3年目、クラブの規模とかそういうものにかかわらず、頭の中をフル回転して前に進んでいかないといけないと思ってやってきました。昨年ルヴァンカップで優勝して、今年に臨むにあたっては非常に厳しいシーズンが続く覚悟を持ってピッチに立ったことは事実です。

 ただ、自分だけがそういう思いを加速させて、周りのスタッフや選手の本当の気持ちとか、本当はこうしたいんだけど言えなかったとか、そういった人そのものの真実みたいなものを半ば度外視して、プロの監督としてはそういった厳しさがもちろん必要というのはありながら、そういったものばかり重視して、本当に見えていたものが見えなくなったのかなと、この50日近い時間の中ですごく考えることが多かったです」。

 そうした指揮官の情熱に対しては、Jリーグの村井満チェアマンがこの日「日本にとっても重要な指導者なので深く反省するとともに前を向いてほしい」「再起してほしい」と期待を寄せた。それでもチョウ監督は「再起というよりもう一度生まれ変わって、サッカーを通じて社会に貢献してほしいという強いメッセージをいただいたと思っている。ありがたく受け取っている」としつつ、今後へのモチベーションを見せることはなかった。

「人としてもそうですけど指導者としても、自分のそういう信念そのものを今後さらに磨いていける材料にしないといけないと思っていますし、許されるならばそういったものがまた自分の本当のものになっていくように真摯に努力するしかないとなというふうに感じています」。この日、記者会見には眞壁潔会長、水谷尚人社長も登壇したが、今後の進退が明かされることはなかった。

(取材・文 竹内達也)
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