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倒されても前へ! 90+4分弾導いた熊本MF河原創、大車輪の働きも「やるべきことをやっているだけ」

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MF河原創

[5.4 J2第14節 横浜FC 0-1 熊本 ニッパツ]

 首位の横浜FCを破るロアッソ熊本の劇的な決勝ゴールは、若きキャプテンの果敢なボール奪取から生まれた。

 後半45+4分、MF河原創主将は中盤のデュエルを制して味方にボールを預けると、相手に倒されながらもすぐさま立ち上がり、MF杉山直宏からのリターンを受けて縦パスを供給。これをMF藤田一途がワンタッチでフリックし、ゴール前に飛び込んでいたMF伊東俊が右足で決め切った。

 試合後、伊東は「足を止めずに中に入れたことが得点につながった」と決勝ゴールの要因を分析。“足を止めない”という意味では、相手に倒されながらも前に進むのをやめず、主審のプレーオン判定を導いた河原の姿勢も光ったゴールだった。

 もっとも、河原自身は冷静だった。「マイボールになっていたので足は止めなかったです」。あの場面でプレーを続けるのは、あたかも当然といった口振り。ゴールを導いた縦パスについても「特に何も考えていない。あそこを通せるなというのがあった。結果的に繋いで点を取れたのがよかった」と淡々と振り返っていた。

 とはいえピッチ上でのプレーを見ていると、そうした口振りにも納得感がある。

 今季は3-3-3-1システムのアンカーとして攻守にチームを支える活躍が続いているが、最終ラインの守備対応が遅れたらカバーリングに入る、相手のプレッシングを回避するため中間ポジションに顔を出す、カウンターが始まれば敵陣中央エリアをサポートする——。そうしたチームの潤滑油となるプレーをあたかも当たり前かのように淡々と、そして完璧にこなしているのだ。

 そのような難しい役割についても、河原は「自分のやるべきことをやっているだけ」と冷静に語る。それどころか「多少キツさはあるけど、そこも含めて自分がやること。すごくやりがいを感じているし、今年J2に入って毎試合楽しい」とまで言ってのけた。

 そんな24歳には大木武監督の信頼も厚く、今季は開幕から14試合連続のフルタイム出場。負担の大きなポジションであることを踏まえれば驚異的な稼働率だ。それでも河原は、中2日のアウェー連戦を終えてもなお「連戦というのは1年目の過密日程もそうだし、去年もフルで出ている。中2日だからめちゃくちゃキツいというのはない」とあっさり。「試合が詰まっている以上やらないといけない」と責任感をのぞかせていた。

 河原のそうした活躍もあり、チームはJ2昇格初年度ながら5勝5分4敗の白星先行で11位と大健闘中。「結果も出ているので、全然やれると思う。まだまだ足りないところもあるし、それはもうチーム全体でよくしていくだけ。もっともっと良くなるようにやっていきたい」。泰然自若の若き主将のもと、ロアッソ熊本はまだまだ前に進み続ける。

(取材・文 竹内達也)
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