beacon

川崎Fの決勝ゴール不認定…“決定機直前の笛”にJFA審判委「競技規則上間違っているものではない」

このエントリーをはてなブックマークに追加

東城穣氏がVAR現況も説明

 日本サッカー協会(JFA)の審判委員会は22日、高円宮記念JFA夢フィールドでレフェリーブリーフィングを行い、今月18日に行われたJ1第5節の川崎フロンターレセレッソ大阪戦の終盤に物議を醸したオフサイド事案について説明した。決定的なチャンスシーンでプレーが止められたことについては「競技規則上、間違っているものではない」と結論づけた。

 川崎F対C大阪戦では0-0で迎えた後半アディショナルタイム2分、川崎Fが左サイドを攻め上がったDF登里享平のスルーパスにFW小林悠が抜け出すと、カットインして放ったシュートのこぼれ球がペナルティエリア左へ。これをMF瀬川祐輔がなんとか折り返し、クロスバーを弾いたボールが右に流れると、MF家長昭博の折り返しをFW宮代大聖が押し込んだ。

 ところが、家長の折り返しの直前に主審によってホイッスルが鳴らされていたため、ゴールは認められなかった。理由は登里のパスに反応した小林にオフサイドがあったというもの。しかし、映像で見ると小林はオンサイドのポジションにいるように見られ、本来であればゴールが認められるべき場面だった可能性がある。

 しかし、ここではVARによるオフサイドのチェックは行われなかった。メディアブリーフィングで公開された音声によると、VARから主審に「いつ吹いた?(ゴールに)入る前ですか?」と質問した結果、主審からもゴールに入る前にホイッスルを吹いていたという確認が取れたため、「(ゴールに入る)その前に吹いているから見ないですよ」と結論づけられた。

 こうしたアウトオブプレー時のVARの運用について、JFA審判マネジャーJリーグ担当統括の東城穣氏は「ボールがゴールに入る前に笛を吹いてしまっている。アウトオブプレーになっていて、プレーが切れてしまっているので、VARが介入できない」と適正な運用だったと説明。むしろ競技規則上は「(VARによる介入を)やったらまずい話。VARとしては入れない」と強調した。

 その上でオフサイドディレイの原則を「シュートを打つとか、得点機会を潰してはいけない」というものだと説明。今回のケースでは小林がボールを受けた時点で「ゴールに背を向ける状態でコントロールしている」ため、副審がオフサイドと判断したのであればその時点でオフサイドディレイを終了し、フラッグアップすべきだったという見解を示した。

 そのため、小林がボールを受けた以降では、いつプレーが止められても「競技規則上、間違っているものではない」と東城氏。主審がホイッスルを吹いた点も含めて「決断することが一つキーワード」と述べつつ、過度なオフサイドディレイを抑制する方針を強調した。すなわち、反省点は決定機の直前にプレーが止められたことではなく、本来の止めるべきタイミングでプレーを止められなかった点にあるようだ。

 また東城氏はこの日、J1第1〜4節のVARのスタッツを紹介。これまでの36試合でVARオンリーレビュー10回、オンフィールドレビュー4回が行われ、介入割合は2.57試合に1回だったことを明かした。2021年の4.37試合に1回、22年の4.87試合に1回に比べて多かった。

 その理由の一つは3Dオフサイドラインの導入とみられる。14回のレビューのうち、5回は得点からオフサイドに判定が覆されたもの。VARに費やされた時間も前半53.9秒、後半42.7秒の合計96.6秒で、21年の60.7秒(前半24.0秒、後半36.7秒)、22年の59.1秒(前半23.9秒 後半35.2秒)から延びている。

(取材・文 竹内達也)
★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2023シーズンJリーグ特集ページ

TOP