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厳密なPK判定が今季の基準、岩政「相撲を取らなくていい」

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[2.27 富士ゼロックススーパー杯 鹿島1-1(PK5-3)G大阪 国立]

 試合が動いたのは前半18分、鹿島アントラーズのFKの場面だった。PA内でガンバ大阪のDF菅沼駿哉がDFイ・ジョンスを手で抑えたとしてホールディングの反則を取られ、鹿島にPKが与えられた。

 菅沼は「相手も“これでPKかよ”と笑っていた」と不満そうな表情を見せていたが、今季のジャッジの基準となる判定ではあった。Jリーグでは今季、「手の不正な使用」を厳しく取る方針を決め、選手を対象にしたルール講習会でも、前日26日の監督会議でも伝えていた。

 Jリーグ関係者は「CKなどの場面でPKが増えるかもしれない」と話していたが、シーズン幕開けとなる試合で、象徴的なシーンが訪れた格好だ。

 結果として不利益を受けたG大阪の選手が不満に思うのは当然だが、西村雄一主審は後半に鹿島のFW興梠慎三がやはり手で相手DFを抑えた場面でもファウルを取るなど「手の不正な使用」に関するジャッジに公平さを保っていた。場面、試合によっては同じような状況でG大阪がPKを獲得するケースも考えられるし、選手は今回の判定をしっかり頭に入れておく必要があるだろう。

 DF岩政大樹は「僕は毎年、ルール講習会で要望していた」と厳密な判定を歓迎していた。「審判がしっかりファウルを取ってくれれば、相撲を取らなくていい。ボールが来たところでのフィジカルコンタクトはもちろんあるけど、最初からプレーをしないような状況もあった。それが1度や2度じゃない。サッカーにとっても、選手にとっても、審判にとっても良くない状況だった」と強調した。

 実際、今回のケースもボールとは直接関係ない場所で起きたファウルだった。MF野沢拓也のFKはファーサイドに流れ、ゴール前で岩政とDF高木和道も交錯して倒れていたが、西村主審が反則を取ったのはもっと手前の場所でのプレーだった。

 厳格化された判定への選手の対応は必要になるが、岩政は「今回が基準になって、選手がつかまなくなってくれれば、攻撃側はチャンスが増えると思う。守備側も正当に守って守れないわけじゃないし、うちの選手はそういうことをしないでも守っている。選手が個人の技術を上げないといけないし、チームとしても守り方を考えないといけない。それがスポーツだし、DFがつかめないようになれば、守備のレベルアップにもつながると思う」と話していた。

<写真>試合を裁いた西村主審
(取材・文 西山紘平)

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