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【連載】南アへカウントダウン!(9)阿部が岡田監督の前でFK弾。「リベリに似てた」

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南アフリカW杯開幕まであと69日!
[4.3 J1第5節 浦和2-1湘南 埼玉]

 珍しく饒舌だった。浦和レッズの日本代表MF阿部勇樹が後半11分に2-0とするFK弾を決めた。恥ずかしがり屋のボランチだが、昨年10月3日の古巣・千葉戦に続く“伝家の宝刀弾”に喜びを隠さなかった。

 「自分でもらったFKだったので蹴りたかった。右上を狙ったけど、入って良かった。リベリのゴールをテレビで見たけど、それに似ていて良かった」

 自ら“ネタ”を提供した。3月30日の欧州CL準々決勝ファーストレグ、バイエルン対マンチェスター・U戦。後半32分にバイエルンMFフランク・リベリが決めた直接FKを話題にし、自身のFK弾となぞらえた。

 このリベリ弾は、PA中央やや左から直接狙い、壁に入っていたルーニーに当たってGKの逆を突いたもの。阿部のFKも、PA中央やや左約22m付近から右上を狙って蹴り込み、壁に当たってGK野澤の逆を突いて左に沈めた。その“再現”に阿部はお茶目な笑顔をみせた。

 FKだけではない。この日は攻守で魅せた。前半45分にはFW田中達也がPA内右で倒されてPKを奪い、ポンテが先制点を決めたが、その起点は阿部のパスカットからだった。これについても「1点目は自分のパスカットから。エジ(エジミウソン)と達也(田中)が見えて、達也に出した」と自らのお膳立てだったことを“宣伝”した。

 また本人は「決定機を外していた」と悔しがったが、守備的な位置にいながら再三、ゴール前に侵入。後半4分には右クロスをダイビングヘッドするなどFWエジミウソンの6本に次ぐ4本のシュートを放つ積極性をみせた。この一戦は日本代表の岡田武史監督が視察。「勇樹はよかったね」と評価していた。

 「最初の5試合で勝ち点10ポイントを取ることが目標だと伝えていたが、3試合がアウェー、2試合がホームという状況にもかかわらず、平均で勝ち点2を取ることができている、これは、私たちが正しい道に進んでいる一つの証拠だ」

 フォルカー・フィンケ監督もご満悦だった。目標通り勝ち点10とし、暫定3位に浮上した。くしくも埼玉スタジアム2002での主催試合100戦目という記念の一戦だった。チームは若返りを図っているさなかだが、序盤から上位に付けたことは自信につながる。もしかしたら、このまま優勝争いをする可能性も。もちろん、その中心には阿部勇樹がいるはずだ。

<写真>後半11分に直接FKから得点を決める浦和MF阿部
(取材・文 近藤安弘)
※今連載ではJリーグ取材時にW杯を目指す日本代表選手を取り上げていきます

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