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一度は閉ざされたプロの道、横浜FMユース・松本のトップ昇格が決定

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 横浜F・マリノスは23日、横浜FMユースのMF松本翔の来季トップ昇格が内定したと発表した。

 トップ昇格の決まった松本だが、ここまでの道のりは平坦ではなかった。8月にトップチームの練習に参加。その後は昇格できるかどうかの返答を待ち続ける日々が続いた。そして9月開幕の高円宮杯全日本ユース(U-18)選手権を前に、クラブ側からトップ昇格はできない旨が伝えられた。

 閉ざされたプロへの道。しかし、松本は諦めなかった。「見返してやろうと思った」と強い決意で臨んだ9月の全日本ユース選手権。大会前に「1試合で2点取ります」と宣言した通り、初戦の三菱養和SCユース戦でいきなり有言実行の2得点を挙げ、5-1の大勝に貢献する。決勝トーナメント1回戦の東京Vユース戦(4-0)でも2得点の活躍。チームは準々決勝で延長戦の末、静岡学園高に敗れ、ベスト8に終わったが、計4得点と存在感をみせつけると、一度はトップ昇格を見送ったクラブの判断を翻意させることになった。

 横浜FMのトップチームに上がれなかった場合は、大学進学ではなく、別のクラブチームに進むつもりだったという。“朗報”に「とにかくすごいうれしかった」と心から喜んだ松本は「(162cmと)背が小さいから厳しいっていろんな人に言われるとは思いますけど、見てる人が毎回楽しんでくれるようなプレーがしたい」と、夢だったJの舞台に思いを馳せた。

 今春までユースでともにプレーしていた同期のFW小野裕二への対抗心も燃やしている。17日のJ1神戸戦(1-0)はスタジアムで観戦。目の前で小野が決勝点を決めた。「同じ年の裕二がやれてるなら自分もやれるだろうって思うし、裕二を参考にしていこうと思ってます」と大いに刺激を受けた。

 トップチームの先輩では「同じキッカーだから」との理由でMF中村俊輔、MF狩野健太を手本にしているという。実際、トップの練習に参加した際は狩野と一緒にFKの練習も行い、「1回1回こだわってFKを蹴っていた」と、その意識の高さに驚きもした。

 今後はJユースカップが当面の目標となる。「高円宮杯でチームが大きく変わったというのはチーム全員が思っている。全員で優勝を取りにいくと決めているので頑張りたい」。高校最後の大会で日本一を勝ち取り、プロへの花道にするつもりだ。

以下、プロフィール

■選手名
松本翔(まつもと・しょう)

■生年月日
1992年4月4日

■身長/体重
162cm/57kg

■経歴
横浜FMジュニアユース(川崎市立白鳥中)-横浜FMユース(神奈川県立荏田高)

■主な代表歴
05年:U-13日本選抜・JFAエリートプログラムU-13

■実績など
08年:国体少年男子・優勝
09年:高円宮杯回全日本ユース(U-18)選手権・優勝
10年:高円宮杯回全日本ユース(U-18)選手権・ベスト8

(取材・文 片岡涼)

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