beacon

寿人の2ヵ月ぶり復帰弾で広島がナビスコショックを払拭

このエントリーをはてなブックマークに追加
[11.7 J1第29節 広島2-1浦和 広島ビ]

 エースのいきなりの復帰弾が劇的な決勝点になった。9位サンフレッチェ広島と10位浦和レッズのACL出場権争い生き残りを懸けた一戦は、公式戦14試合ぶりの復帰を果たしたFW佐藤寿人が後半ロスタイムに決勝点を決め、広島が2-1で逆転勝ちし、8位へ順位を上げた。

 0-1の後半開始からMF高萩洋次郎に代わって佐藤がピッチに入ると、後半6分にFW李忠成が同点ゴール。しかし、なかなか勝ち越すまでには至らず、このまま引き分けかと思われた終了間際の後半46分だった。カウンターから左サイドを突破した佐藤が最後はGKもかわして左足を一閃。7年連続2ケタとなる今季10点目でチームを逆転勝利に導いた。

 9月8日のナビスコ杯準々決勝・G大阪戦で右肩鎖関節脱臼の重傷を負った。前節10月31日の横浜FM戦でベンチ入りを果たしたが、出番はなく、4日前に行われたナビスコ杯決勝もチームが2-1とリードする展開で守備固めに交代枠を使い切ったため、ここでも出場機会は訪れなかった。後半ロスタイムに追い付かれ、延長戦で逆転を許し、磐田にタイトルを奪われるのをただベンチで見ているしかなかった。そんな悔しさも胸に、満を持しての2ヵ月ぶりの復帰戦でいきなり決勝点を決めてみせた。

 試合は前半31分、守備陣のミスから自陣内でMF細貝萌にボールを奪われ、最後はFWエジミウソンに先制点を許してしまう。しかし、1点ビハインドで迎えた後半開始から投入された佐藤が豊富な運動量で前線を活性化。佐藤の動きに周囲も触発され、流れは徐々に広島に傾いていった。

 すると後半6分、MFミキッチの右クロスをPA内正面で受けた李が右足でダイレクトボレー。自身今季7点目となるゴールで試合を振り出しに戻した。

 その後もDF槙野智章がオーバーラップからチャンスをつくるなど、浦和を押し込む。後半24分にはFW山崎雅人の左クロスをPA内右で受けた李が技ありのループシュート。これはGK山岸範宏の好セーブに阻まれたが、後半ロスタイム、佐藤の執念のゴールで勝ち点3をもぎ取った。

 試合後のインタビューで佐藤は「ただいま帰ってきました!」と第一声。「2ヵ月、有給をもらってしまっていたので、ここからしっかり働いていきたい」と力強く誓った。ナビスコ杯決勝で敗れ、タイトルを目前で逃したショックを感じさせることなく、最後まで諦めない姿勢が実り、勝ち取った勝利だ。3位G大阪との勝ち点差は5。ACL出場権獲得へ、広島が最高の形でリスタートを切った。

(文 片岡涼)

TOP