[2.20 さいたまシティカップ 大宮3-0浦和 NACK]

　スコアだけを見れば“ほろ苦デビュー”だが、確かな手応えがあったようだ。新潟から新加入した浦和レッズDF永田充は、今季初のプレシーズンマッチ13日の鳥栖戦(1-2●)は日本代表から帰ってきたばかりのため欠場し、この日がレッズ初戦となった。3失点敗戦という悔しいものとなったが、「結果的には残念だけど悪くはなかった。前半はやられる気がしなかった。そんなに悪いゲームをしたとは思っていないし、つないで崩すところやビルドアップはよくできていたと思う」と前向きだった。

　試合内容は浦和の方が良かった。守備面でも、たしかに前半は完璧だった。浦和がボールを支配したこともあるが、カウンターを仕掛けてきた大宮の攻撃陣を完璧に抑えた。大宮は1トップに李天秀が入り、2列目にラファエル、藤本主税、渡部大輔と変則的な布陣を敷いてきたが、永田は冷静に対処。高さの面も強さの面も、さすがの力を示した。失点はセットプレーのこぼれ球と、CBのコンビを組んだ山田暢久が退場して一人少なくなったあとのもので、永田のせいとはいえない。それよりも、闘莉王の穴を埋める本格CBとしての期待を感じさせるプレーの方が多かった。

　本人も手応えを口にしたが、攻撃面でも持ち味を発揮した。右の田中達也、左の原口元気といったサイドアタッカーに、得意のロングフィードを積極的に繰り出した。「信頼してくれてて、達也さんも元気も、どんどんフィードしてきいいよと言ってくれた。後半はあまりスペースがなくて出せなかったけど、今後はもっと出していきたい」と永田。同じくパスを出せるCB山田とともに、攻撃の第一歩として高いパスセンスを発揮した。

　課題は「もっと声を出せればよかった。失点して、僕がしゅんとしてしまった」と明かすとおり、リーダーシップの面という。圧倒的に攻め込みながら失点したこと、またレッズ初戦という気負いもあり、失点後は気落ちして思うような指示が出せなかった様子。山田が退場した後も「ベンチの指示も伝わりづらくて多少混乱した」と明かす。今後はもっと積極的に声を出し「もっとラインの上げ下げを細かくやりたい」と意気込んだ。

　「きょはうは、昨日も(練習で)ゲームをしているし、体が重いところがあった。でもそれはこの時期だし仕方がない。大宮に負けたのは悔しい。Jリーグでは全勝できるようにしたい。開幕が近づいている?　開幕はすごく楽しみ。わくわくしています。いい準備をしたい」と永田。浦和でのタイトル獲得、そして日本代表定着へ。期待の大型CBはこの敗戦を糧にして、さらなる飛躍をつかむ。

[写真]守備能力にパスセンスも発揮した永田

(取材・文 近藤安弘)