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22歳誕生日の永井。値千金のPK奪取で衝撃の“プロデビュー”

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Text alert@豊田ス
[3.5 J1第1節 名古屋1-1横浜FM 豊田]
 分かってはいた。けれどもインパクトは予想以上だった。Jリーグ5クラブの争奪戦の末、鳴り物入りで名古屋入りした快足ストライカー永井謙佑が、プロとしてのJデビュー戦(福岡大在籍時代に特別指定選手として09年J2アビスパ福岡で5試合、10年ヴィッセル神戸で3試合出場)で衝撃の速さを見せつけた。

 「あれはスピード違反にならんかなあ?大したもんだね、あれは」。敵将の木村和司監督が思わず脱帽する。ストイコビッチ監督は「パーフェクトでサプライズ。スピードと決定力にみなさん驚いたのではないか。彼の良さが今日は出た。素晴らしかった」と大絶賛だ。

 指揮官たちをもうならせる圧倒的な速さだった。1点を追う後半21分、金崎夢生と交代でピッチに立つと、正味30分ほどのプレータイムで4度の決定機を作った。

 まずは同25分のボレーシュートでスタジアムをどよめかすと、同38分にはこぼれ球に左足を合わせて再びボレーシュート。惜しくもバーを直撃したが、勢いは止まらない。

 名古屋スタンドのボルテージをさらに高めたのは同41分。日本代表DF中沢佑二を一瞬でかわして裏を取ると、そのままドリブルで運んで右足シュートを放った。

 そして、最大の見せ場は4分のロスタイムがまさに終わりかけようとしていた時だった。自陣で中沢からボールを奪うと、ペナルティーエリアで栗原勇蔵を振り払い、さらに突進した。たまらず手で引っ張った栗原に警告が出され、名古屋は起死回生のPKを得た。

 これをケネディが冷静に決めて1-1。どうしても負けられないホームでの一戦で、価値ある勝ち点1をチームにもたらした。

 「監督にはスピードを生かして、どんどんゴールに行けと言われてピッチに入った。1対1(のシュート)を外したので、PKを取れてホッとしている。持ち味を見せられて良かったし、スピードの部分は通用するかなと思ったのが収穫だった」

 この日は22歳の誕生日でもあった。試合のため、チームメートからのお祝いはまだだということだが、ストイコビッチ監督が「思い出の試合、思い出の誕生日になったね」と会見の席で〝祝辞〟を述べてくれた。

 「中沢さんを千切った? でも、気後れとかはしない方なので・・・」と飄々とした口調にも味のある永井。2011年Jリーグを面白くするスピードスターが鮮やかに誕生した。
(取材・文 矢内由美子)

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