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ライバルの垣根を越えたチャリティーマッチ、静岡ダービーは1-1ドロー

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[4.9 チャリティーマッチ 清水1-1磐田 アウスタ]

 清水エスパルスジュビロ磐田が対戦する東北地方太平洋沖地震チャリティーマッチが9日、アウトソーシングスタジアム日本平で行われ、1-1で引き分けた。前半45分にDF平岡康裕のゴールで清水が先制したが、磐田も後半1分にFW山崎亮平が同点ゴール。試合後は両チームの選手が一緒にスタジアムを一周するなど、ライバルの垣根を越えて被災地にエールを送った。

 試合前には両チームの主将が挨拶。清水のMF小野伸二は「僕たちにできるのは、たくさんのエネルギーを被災地の人に届けることだけ。サッカーというスポーツで皆さんと一緒に勇気を届けたい」と話し、磐田のMF那須大亮は「復旧、復興への道のりはまだまだ長いけど、1日も早い復旧、復興につながるように、あきらめない気持ちや勇気を被災地の人に精一杯届けたい」と誓い、ゲームはスタートした。

 清水は3月5日の開幕戦・柏戦(0-3)から4-2-3-1のシステムを4-3-3に変更。MF枝村匠馬がアンカーに入り、前めにMF山本真希とMF小野伸二が入った。
 磐田は4-4-2のシステムで大卒ルーキーのMF山田大記が左MF、MF小林裕紀がボランチで先発。大分から今季加入したDF藤田義明もCBで先発した。
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 試合は前後半で正反対の展開となった。立ち上がりから清水がリズムよくゲームを進め、前半4分には小野からピンポイントのサイドチェンジを受けたFW伊藤翔が左サイドからカットイン。しかし、右足のシュートはGKの正面を突き、同30分には小野とのワンツーで伊藤がゴール前に抜け出したが、シュートはGK川口能活の好セーブに阻まれた。

 再三のチャンスをなかなか生かせずにいた清水は前半45分、セットプレーから均衡を破る。小野の右CKからニアサイドに走り込んだ平岡が打点の高いヘディングシュート。前半終了間際の先制点で前半を1-0で折り返した。

 清水はハーフタイムにFW高原直泰に代えてFW高木俊幸を投入。高木は左FWに入り、伊藤がセンターFWに回った。ところが、後半開始わずか25秒、磐田が一瞬の隙を突く。右サイドに開いたFW前田遼一が中に戻したボールをMF山本康裕がワンタッチで前線にスルーパス。これに反応した山崎が右足ダイレクトでゴールに流し込み、同点に追い付いた。

 ここから流れは一変した。清水のアフシン・ゴトビ監督が「後半立ち上がりの集中力を欠いていた。後半始まってすぐに失点して、相手が自信を取り戻し、試合の雰囲気も変わってしまった」と振り返ったとおり、徐々に運動量の落ち始めた清水は選手間の距離が間延びし、磐田にスペースを突かれ出した。

 清水は後半26分、小野に代えてFWアレックスをピッチに送る。「水曜に試合(アヤックス戦)があるので高原と小野は出場時間を考えた」(ゴトビ監督)と、週明けのオランダ遠征も見据えた選手交代で、流れは磐田に移ったまま。後半31分、前田が山崎とのワンツーから強烈なシュートを放ち、同42分にも前田のラストパスを受けたMFジウシーニョが決定機を迎えた。しかし、いずれもフィニッシュの精度を欠く。清水も同43分に高木がフリーの体勢から強烈な右足ミドルを狙ったが、枠を大きく外れ、試合は1-1のまま終了した。

 ゴトビ監督は「チャリティーマッチにとって、引き分けはいい結果だったかもしれない。この試合が希望のシンボルとして、日本が強く団結していることを示すことが大事だった」と指摘。高原も「静岡の2チームが、普段はライバル同士だけど、今日は一つになってできたことがよかった。一生懸命、全力でプレーする気持ちを届けられればと思っていたし、プレーに関してはあまり考えてなかった」と、内容や結果以上に価値ある試合だったことを強調していた。

[写真]試合後、肩を組んで両チームのサポーターに挨拶する清水の高原直泰(右)と磐田の駒野友一

(取材・文 西山紘平)

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