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警告覚悟のパフォーマンス、千真がモヤモヤ振り払う2戦連発弾

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[7.3 J1第2節 横浜FM2-1川崎F 日産ス]

 モヤモヤを振り払った。横浜F・マリノスのFW渡邉千真が途中出場で2戦連発となるゴール。会心の一撃で決勝点を奪い、チームを今季初の3連勝に導いた。

「前を向いたら相手が出てこなくて、シュートコースも空いていた。思い切り振り抜いたらいいところにいった」。1-1で迎えた後半26分、高い位置でDF中澤佑二がMF小椋祥平と挟み込む形でボールを奪い、渡邉に預ける。ワンタッチで前を向いた渡邉はドリブルで運び、右足を一閃。PA外からゴール左上隅に突き刺した。

「自分でもビックリした」という弾丸シュート。「今年は(イエローカードを)1枚ももらってないし、いいでしょ」と、警告覚悟でユニフォームを脱ぎ、右腕で振り回しながら雄叫びをあげた。チームメイトが駆け寄り、広がる歓喜の輪。予想通りイエローカードを受けたが、気にならなかった。

 開幕から9試合連続で先発出場しながら、その後は5試合連続のベンチスタート。「最初から出たい気持ちはずっとある。でも、与えられた時間で結果を出さないと、最初からも出られない。途中からでもしっかりゴールしないといけないと思っていた」。前節・山形戦(2-0)に続く途中出場での2戦連発。2試合連続で結果を残せたことには理由があった。

 最後に先発した6月11日の柏戦(0-2)でハーフタイムに交代を命じられると、次の試合からベンチが“定位置”になった。しかし「監督から具体的な話はなかった」と、なぜ自分が先発を外されたのか不満も募った。

 昨季もなかなか出場機会に恵まれない時期があったが、当時は「自分から聞きづらいというか、勇気がなかった。練習でしっかりやるしかないと思っていた」と悔しさを押し殺した。それが前節の山形戦の前に木村和司監督と話すタイミングがあり、「自分のどこが悪いのか」を思い切って聞いたのだという。

「攻守の切り替えのところや、中盤に下がらないといけないときはしっかり下がるところ。攻撃ではもっと自分から要求してパスをもらえと。そういう話ができてすっきりした。悪いところは直して、いいところは出していこうと。監督の要求していることに応えようと思った」

 気持ちの整理が付き、やらなければならないことがハッキリしたことで迷いもなくなった。直後の山形戦で6試合ぶりのゴールを決め、この日は2戦連発。「注目される試合でなかなか決勝ゴールを決められてなかった。今日決められてよかった」。神奈川ダービーという大一番で飛び出した決勝点。ひと皮むけた期待の大砲が、さらなる飛躍へのきっかけをつかんだ。

[写真]ユニフォームを脱いで喜ぶ渡邉

(取材・文 西山紘平)

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