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金メダル決定弾以来の公式戦ゴール!川崎F・實藤が開幕V弾でU-23代表SB争いに名乗り!

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[3.10 J1第1節 川崎F1-0新潟 等々力]

 川崎フロンターレに開幕戦勝利をもたらしたのはプロ2年目の23歳、DF實藤友紀だった。右SBで先発した實藤は前半11分、FWレナトの右FKにニアサイドへ走り込むと「かすったくらい(苦笑)。ちょっと触ればGKも動けないと思った」とわずかにコースを変えて先制ゴール。U-21日本代表として出場した10年広州アジア大会決勝のUAE戦で決めた決勝弾以来となる公式戦のゴール(当時は高知大所属)でチームを白星へ導いた。「公式戦でのゴールはアジア大会以来。いい方向に向いてくれれば。ボク自身もそうだけど、フロンターレがいい方向に向けばいい」。決勝ゴールを決めた背番号15は守備面でも切り替えの速さとスピードを活かして新潟攻撃陣を無得点に抑え、チームと共に好スタートを切った。

 プロ1年目の昨年は苦しいシーズンだった。8試合の先発を含むリーグ戦12試合に出場したもの、チームは前年の5位から11位へ大きく後退。注目ルーキーは力になることができなかった。欠けていたのはゲームの展開を読むことと、チームとしてやらなければいけないことへの共通理解の部分。ただ、「昨年やってきたことが無駄じゃなかった」と振り返ったように、1年間かけて経験を積んできたことが自信になってきている。今年にかける思いも人一倍強く、キャンプで信頼を勝ち取り、開幕戦のピッチでも勝利に貢献することができた。

 この日対戦相手が新潟だったことも闘志をかき立てた。昨年10月の新潟戦で右手月状骨周囲脱臼の負傷を負った實藤は前半16分でピッチを去り、全治2か月の診断を受けた。この負傷によってU-22日本代表候補合宿を辞退。代表争いから遅れを取った。また負傷した新潟戦は東日本大震災で被災した岩手県陸前高田市から児童らを招待した中で行われた試合だったが、自身のプレーで勇気を与えることができなかった。それだけに「やってやろうという気持ちでいた」という實藤。陸前高田市でパブリックビューイングが実施されたこの日は最後まで全力で走り回り、チームのピンチには身体を投げ出すようにして守った。そして“借り”を返した。

 この日の勝利はU-23代表復帰へのアピールにもなったはずだ。右SBのレギュラーへのライバルはJ1王者・柏のDF酒井宏樹。「酒井は凄くいい選手。割って入れるくらい自分の特長を活かして、チームでやっていくだけ。(武器は)スピードのところ。前に出れるスピードと戻るスピードを見てほしいし、意識して伸ばしていきたい」。DFながらヒーローになったアジア大会の優勝ゴール直後は「運を使い果たした」とイジられていたが、今回、開幕戦のゴールで再びヒーローとなった實藤。1年半ぶりの公式戦ゴールを弾みにチーム、U-23代表で躍動する。

(取材・文 吉田太郎)

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