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我慢でつかんだ勝ち点1。横浜FC・阿部「最低限のことはできた」

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[3.20 J2第4節 横浜FC 0-0 東京V ニッパ球]

 とにかく我慢した。0-0の引き分けは、その結果だった。岸野靖之前監督の下、横浜FCは最前線からボールを奪いに行っていた。しかし、田口貴寛監督代行は、全体をリトリートさせて守備を強調した。

 前半の立ち上がりこそ東京Vに攻め込まれ、立て続けにシュートを許した。前からボールを奪いに行きたくなる展開でも、スペースを埋めることに徹した。「前に行ってかわされるのが嫌だった」とFW大久保哲哉が言うように、横浜FCの2トップは東京ヴェルディのボール回しに食いつかず、相手が出てくるのを待った。

 我慢をしていたのは、最終ラインの選手たちも同じだ。「自分たちが先に焦れてはいけないと思っていた」というDF阿部巧も、持ち味の攻撃参加を自重。相手にスペースを与えないことを意識した。攻守に自分たちで主導権を得るサッカーに取り組んできたが、うまくいかずに開幕3試合を終えて、勝ち点1しか挙げられなかった。千葉戦(0-3)からはわずか2日しか経っていない。すべてを修正するのは無理がある。何より勝ち点を欲しているチームが、守備に重点を置いたのは必然といえるだろう。

 チームの重心は、後ろに偏っていたかもしれない。それでも、結果的に全体をコンパクトに保てたことが、試合終盤に生きてくる。攻め手を見いだせなくなった東京Vに対し、後半15分過ぎから、横浜FCはチャンスをつくり始める。攻めあぐねる相手のミスに乗じて、前線の少ない人数でショートカウンターに出る場面が増えた。

 後半16分には大久保の落しから、FWカイオがミドルシュートを狙い、同31分にはカイオとのワンツーから、大久保が決定機を迎えている、「今までより互いの距離が近かったからああいう形ができた。前の試合までだったら、カイオとワンツーする場面なんてありえなかったと思う」と大久保は振り返る。

 得点こそ挙げられなかったが、試合前のプラン通りに失点をゼロに抑えることはできた。「最低限のことはできたと思う」と阿部が言えば、今季初出場となったDF森本良も「守備をしっかりしていけば、点は入ると思えた」と手応えを口にする。

 勝ち点1を重ねた横浜FCだが、まだファジアーノ岡山と並び最下位である。それでも自信を失くしていたチームにとって、拠り所を見つけることができたこのスコアレスドローが、反撃への第一歩となるか。

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