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絶妙ヘッドは惜しかった…53歳カズが今季初出場「背中見て学んだ」FW瀬沼が劇的決勝弾

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FW瀬沼優司の決勝点を喜ぶFW三浦知良

[8.5 ルヴァン杯C組第2節 鳥栖0-1横浜FC 駅スタ]

 53歳5か月10日での最年長ゴールとはならなかった。横浜FCのFW三浦知良は今季初先発となった鳥栖戦の前半30分、右サイドを駆け上がったMF齋藤功佑からのクロスに反応。「来るんじゃないかと予感して入った」。巧みに合わせたヘディングシュートだったが、無情にもGKの正面を突いた。

 クロスボールがややマイナス方向に入ってしまったのも影響した。「戻る感じになってしまったので難しい形だったけど、ゴールまで持って行けたので、タイミングが良かったらゴールになっていたと思う」。自身最後の得点は2017年3月12日のJ2群馬戦。あと一歩にまで近づいていた3年ぶりのゴールは今後のシーズンへお預けとなった。

 それでも今季初出場で、ようやく2020シーズンのスタートを切った。「いまなお感染が広がっている世の中で、非常にまだまだ大変な時間を過ごしている人が多い中、自分たちはこうやってお客さんの前でサッカーができる、テレビを通してサッカーをお見せできる機会をもらえて本当に幸せ」。試合後のオンライン会見では開口一番、サッカーのできる喜びを語った。

 またチームは現在公式戦4連敗中とあり、試合前から暗い雰囲気を変えるという気概にあふれていた。「ルヴァン杯であっても勝利し、チームが良い方向に向かうようにしたい。自分にはその責任があると感じてピッチに立った」。そんなカズは今季初出場のキックオフからわずか10秒後、熱い気持ちを体現するかのようなスライディングタックルを披露。ボールを刈ることはできずファウルに終わったが、味方の闘争心を煽り立てた。

「スライディングに関してはチーム全員に自分の姿勢、闘う気持ちを見せたかった。相手に遅れて入ってしまったので申し訳なかったけど、気負いというより気合をチームメートに示したかった。遅れてしまったけど、チームが戦う気持ちになるんじゃないかと思った」。

 53歳の途中交代後もカズの見せた気合いはピッチの上に残り、後半アディショナルタイムに決勝弾が決まった。殊勲の決勝弾を決めたFW瀬沼優司はゴールの直後、ベンチを飛び出して喜ぶカズのもとへ真っ先に向かった。

「いつも毎日の練習で背中を見て学んでいる。一言も弱音を吐かないし、ネガティブなこと、マイナスなことを言わない。最高のお手本がいる。チャンスが来るから頑張ってやろうと一日一日励ましてくれた。今日はたまたまゴールを決めたのが僕だったけど、感謝の気持ちがあふれてカズさんのもとに行った」(瀬沼)。

 J1昇格1年目の横浜FCは今季、敵陣までマンツーマンでハイプレッシャーをかける新戦術に着手しており、ベテラン選手には厳しすぎるほどの運動量が要求されている。それでもカズは「僕みたいな年齢だと大変なことは増えるが、チームスポーツで求められるもの」と受け入れた上で、さらに自身の経験を注入しようと取り組んでいる。

「その戦術、そのフォーメーションを取る中で結果が出ず、これが正しいのかという不安を持ちながらプレーする選手が出てくるのが一番良くない。新しいものを挑戦する中で若さ、勢い、スピードに加えて、日本代表で経験している選手がいるので賢く戦わないといけない。自分もハードワークしないといけないが、リズムを変えたり、前から行っても無理な時はブロックを敷く時間帯、ボールを握る時間帯をつくったり、とくにこの暑い時期に賢く戦わないといけないんじゃないかと考えながらやっている」。

 なお、カズは53歳5か月10日でのリーグカップ出場はもちろん最年長。DF土屋征夫(当時甲府)が17年5月31日に打ち立てた42歳10か月0日を大幅に塗り替える大記録となった。下平隆宏監督は試合後、「ヘディングが入っていれば100点満点以上だった」と絶好機を振り返りながらも「53歳という年齢で炎天下の中で50分以上走り続けられることが尊敬に値する。カズさんのパフォーマンスに感謝している」と5歳年上のレジェンドに敬意を示した。

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