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[Jユースカップ]浦和ユース、相手のお株を奪うショートカウンターでC大阪U-18を撃破

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[11.1 Jユースカップ準々決勝 C大阪U-18 1-3 浦和ユース カシマ]

 2015Jユースカップ第23回Jリーグユース選手権大会準々決勝、カシマサッカースタジアムでの第2試合ではセレッソ大阪U-18浦和レッズユースが対戦。今季リーグ戦でも低迷し、夏の全国大会の出場をも逃してしまっている浦和は、挑戦者のマインドを強く持ってこの一戦に挑み、見事に上回ってみせた。

 C大阪・大熊裕司監督が「甘さがあったし、メンタル的に押し込まれてしまった」と嘆いた試合を、浦和・大槻毅監督は「前向きに、本当に前向きにやることができた」と振り返った。ゲームに対する基本的な方針は変わらない。「4-4-2同士で真っ向から挑ませた」(大槻監督)試合は、立ち上がりに大きな分岐点を迎えることとなる。

 まずは開始7分。浦和MF川上開斗のやや不用意なボールタッチを見逃さず、C大阪がショートカウンターをしかける。U-18日本代表FW岸本武流、MF上畑佑平士とつないで、最後はFW井上泰斗。落ち着いた右足シュートがゴールネットを揺らし、C大阪が最初の決定機でいきなり先制点を奪い取った。

 そしてこの直後だった。「まさにあそこだけだった」とC大阪・大熊監督が言えば、「あそこがすべてだった。あそこを手堅くしのがれたら、ウチが負けていた」と浦和・大槻監督も言及した攻防が発生する。直後の9分のワンシーンだった。相手DFのパスを高い位置でインターセプトしたのは、先ほどの失点に絡んでしまっていた浦和の左MF川上。自分のミスは自分で取り返すと言わんばかりに強引にしかける。「まず勝負することを考えろ」と強調してきた大槻監督の教えを実践するかのようなトライに対して、C大阪DF陣の対応は遅れた。最後はDF庄司朋乃也と正対した状況、角度のあまりない位置から股抜きシュートを狙う果敢なトライでゴールネットを揺らした。「あの1点が本当に大きかった」と浦和DF小木曽佑太が振り返ったように、ショートカウンターを得意とする相手のお株を奪うゴールは心理的にも確固たる意味を持つこととなった。

「あの1点を相手に与えなければ、ウチが勝ち切る流れになったと思う」という大熊監督の感想は、恐らく観戦した者のほとんどが感じたものだろう。だが、現実にはそうならず、ゲームは拮抗していった。貫いたのは「前回(京都戦)と同じやり方。みんなで走って、セカンドボールを拾って、最後も絶対に走り勝つ」(新井瑞希)というシンプル・イズ・ベストな方法論。走り合って殴り合う展開は本来C大阪が得意とするステージだが、浦和はそこへ挑んでいった。

 走り勝つための源泉は、やはりトレーニング。全国大会出場を逃した夏休みにはレッズランドで合宿を張って、「走り込んで、対人(練習)をやって、それを繰り返して、とにかくキツいのをやり切った」(小木曽)。思い出すと顔が曇るような厳しい練習だったようだが、「走り合いで負ける感じはない」(FW時里元樹)、「ウチは絶対に走り勝てる」(新井)というチームの自信につながったのも間違いない。

 ガムシャラでシンプルな攻めを繰り返し、各局面で勝負を挑んでくる浦和に対し、C大阪は「出来が悪いなら悪いなりにやらないといけないが、後ろが落ち着いてボールを持てなかったし、バランスも悪くなっていった」(大熊監督)。そして迎えた27分の決勝点は、やはりショートカウンターから生まれた。相手CBがロングボールの処理を誤ったスキを見逃さなかった新井がインターセプト。これが交代出場の快足FW川上エドオジョン智慧につながって、川上がPA手前まで一気にボールを運ぶ。そこから右サイドの影森右京が縦へと突破して折り返し。ニアに走っていた新井がこれをねじ込むようにゴールの天井へ突き刺し、逆転ゴールが生まれた。「ファーに走っても来ないと思って、とっさにニアへ動き出した」(新井)という見事な得点だった。

 さらに38分には小木曽が新井のCKから頭で決めて追加点。逆転ゴールから逃げ切るための交代カードを次々と切った浦和のベンチワークも冴えて、C大阪の追撃は実らず。浦和がJユースカップで3度目の4強進出を決めた。

[写真]前半9分、浦和ユースはMF川上(左)が同点ゴール

(取材・文 川端暁彦)
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