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[ぎふ清流国体]PK戦で前回優勝の千葉県撃破!兵庫県が4強進出!!:少年男子準々決勝

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[10.2 岐阜国体少年男子準々決勝 千葉1-1(PK4-5)兵庫 飛騨古川V]

 第67回国民体育大会「ぎふ清流国体」サッカー競技少年男子の部は2日、準々決勝を行い、前回大会で優勝(静岡県と同点優勝)した千葉県と兵庫県との一戦は1-1で突入したPK戦の末、兵庫が5-4で勝利。2年ぶりの準々決勝突破を決めた兵庫は、3日の準決勝で大阪府と対戦する。

 延長戦とPK戦、2度土俵際まで追い込まれながらも粘りを発揮した兵庫が、前回王者撃破を果たした。先発11人中7名が流通経済大柏高の選手で、3名が市立船橋高の選手と高体連中心のメンバーで固められた千葉と、先発10名が神戸U-18の兵庫との戦い。序盤からより相手ゴールに近づいたのは兵庫だった。

 正確なポゼッションから左右にボールを動かし、対角線上に放つサイドチェンジも多用して一発でディフェンスの背後を狙う動きも見せる兵庫は10分、中央から仕掛けたMF中井英人(神戸U-18、1年)が左足シュート。11分には右クロスのこぼれ球をFW藤本裕豪(神戸U-18、1年)が右足で叩き、17分には左サイドから独力で切れ込んだFW表原玄太(神戸U-18、2年)が角度のない位置からシュートへ持ち込む。特に表原のドリブルは威力十分。強引過ぎると思えるほどの突破でも、ボールを失わず、確実にPAまでボールを運んでいた。

 また、中井の非常に落ち着いたボール捌き、左のMF米澤令衣(神戸U-18、1年)の仕掛けなど攻撃は多彩。菊池彰人監督(ヴィッセル神戸U-18)が「精神面、プレーの面でも引っ張ってくれている」という表原、GK吉丸絢梓(神戸U-18、2年)、MF岩井健人(滝川二高、2年)の2年生が中心になって優勢に試合を進めていく。ただ、千葉もボールを持てば確実にブレイクしてくるMF青木亮太(流通経済大柏高、2年)のドリブル突破やMF久保和己(流通経済大柏高、1年)、MF成田悠冴(市立船橋高、2年)の技巧を活かして対抗すると、左SB小川諒也(流通経済大柏高、1年)のキープ力と高精度のクロスボールが兵庫DFを苦しめていた。
 
 後半3分には小川の左クロスからファーサイドの青木が決定的なヘディングシュート。後半、チャンスの数を増やした千葉は12分にも右中間から青木が放った右足シュートがゴールを捉え、22分には2回戦で直接FKを決めている青木の右足FKがゴールを襲った。そして30分には後半最大の決定機。小川の右CKをファーサイドのCB山田健人(流通経済大柏高、1年)が折り返すと、高く舞い上がったボールの落下点にいち早く入った青木のヘディングシュートがゴール右ポストを叩いた。

 失点を免れた兵庫だが、16分に2度の切り返しを交えたドリブルでPAへ近づいた藤本の右足シュートは千葉GK岩淵航平(千葉U-18、1年)のファインセーブにあい、19分にカウンターから表原がマークを外して放った決定的な左足シュートはGK正面を突いた。表原と中井の推進力も武器に千葉のディフェンスラインを押し下げたが、シュートの積極性を欠いたこともあってリードを奪うことができなかった。

 0-0のまま延長戦へ突入した試合はその後半に突如スコアが動く。千葉は2分、青木が強引なドリブルによって右サイドタッチライン際でFKを獲得すると、キッカーの青木がPA目掛けてボールを蹴りこむ。右後方からの難しいボールに合わせたのはMF鴨目武志(市立船橋高、2年)。背番号7の頭から放たれた一撃はゆっくりとゴール左隅へ吸い込まれた。

 一発で崖っぷちに立たされた兵庫。ただ、中井が「正直入れられた瞬間はヤバイと思いましたけれど、下を向いている選手がひとりもいなかった。大丈夫だと思った」と振り返り、菊池監督も「ブレなかったですね。失点しても彼らはよく集中していました」と評したように兵庫は全く動じない。冷静に自分たちの攻撃を徹底すると5分、右サイドからPAと平行にボールを逆サイドへ展開。そして左サイドのSB山口真司(1年)からの折り返しを受けた中井がディフェンスラインとGKの間に絶妙なクロスボールを放り込むと、ニアサイドへ走りこんだFW南島彰人(神戸U-18、1年)が同点のヘディングシュートを押し込んだ。オープンな攻め合いとなった終盤、互いにシュートにまで持ち込んだが、これ以上スコアは動かず、勝敗の行方は今大会初のPK戦へ委ねられた。

 ここでも先にリードを奪ったのは千葉。兵庫の2人目、藤本のシュートを岩淵が右へ跳んでストップする。だが兵庫は「焦りはなかった。自分のプレーをすることに集中していました」というGK吉丸が相手の3人目、成田のシュートを左へ跳んで同点に持ち込むと、6人目に決着。先攻・兵庫の中井が左隅へ決めたのに対し、千葉の6人目・浅沼拓己(流通経済大柏高、1年)のシュートは再び左へ跳んだ吉丸が完ぺきにストップする。これで前回王者、撃破。兵庫の白のユニフォームが吉丸目掛けて一斉に駆け寄り、殊勲の守護神を祝福していた。

 兵庫は昨年、宮崎県に0-1で敗れ、初戦敗退。3年連続の4強進出をストップさせてしまっていた。吉丸や表原、山口は昨年の悔しい思いを知る経験者。今年の目標はまずはベスト4入り、そして優勝だ。吉丸は「チームのまとまりについて意識してきたけれど、それは昨年よりも上。優勝したい。これからはより気持ちが重要になってくると思う」と力を込めた。そして中井は「県としての目標はベスト4かも知れない。でもボクらが目指しているのは優勝。今のままでは厳しい。最後まで走り続けること、ボールへの執着心、そしてゴールへの泥臭さを高めたい」と誓った。準決勝の対戦相手は関西のライバル、大阪府。課題を修正し、関西予選で勝利している相手に再び勝って、1982年大会以来となる優勝へ王手をかける。 

[写真]PK戦の末に千葉県を破った兵庫県イレブンが喜びを爆発
  
(取材・文 吉田太郎)
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