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[MOM850]東京都FW神谷優太(東京Vユース1年)_苦しんだエースが示した成長の証

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.2 国体少年男子準決勝 京都府1-2東京都 味フィ西]

 仲間が支えてくれたからこそ、自分のゴールがある。1-1で迎えた延長前半9分、東京都は交代出場のMF大熊健太(F東京U-18)が右クロス。これをエースFW神谷優太(東京Vユース)が身体を投げ出しながら頭で合わせる。「咄嗟に頭が出てきた。頭しかないと。ヘディング苦手で本当に貴重なゴールだったと思います。(これまで試合で)全然頭で決めないですね。練習しても、どのタイミングで入り込めばいいかも分からない」という苦手のヘディングシュートがゴール右隅を破る決勝点となった。

 このヘディングシュートが神谷にとって8本目のシュートだった。後半15分に絶妙な切り返しから放った左足のコントロールショットが京都GK若原大志のビッグセーブに阻まれたほか、力のあるシュートがゴールを捉えても若原に反応され、GKを外したあわやの一撃もゴールポストをかすめて外れていく。精度のあるシュートも、パワーのあるシュートもゴールを破ることができない。「シュート、シュートという意識が強かった気がしますね。シュートに力があったと思うんですけど、(あまりにも入らず)途中からシュートが嫌になりましたね。(自分では)当たっていたつもりなんですけど、入らなかった」と苦笑いするほど苦しんでいた。後半終了間際には決定的なパスを味方に出してもシュートが枠を捉えず。どうしても勝ち越しゴールを奪うことができなかった。

 それでも「自分が決めないと勝てないと自分の中で思っていた」とゴールを狙い続け、「気持ちで押し込んだ」という苦手のヘディングシュートが決勝点。「みんなで勝利を掴んだ試合だと思います」と語り、自分が外してもゴールを守り、パスを配球し続けてくれたチームメートたちに感謝した。

 本人も反省しかしていないような試合だったが、それでも自分自身をコントロールして決勝点を決めたところに価値がある。東京都選抜で指導してきた奥原崇監督が「少しのメンタルのコントロールのところが上手くいけば、きょうももっと点を取れると思います。(ただ)期間中に凄く良くなっていることをボクも感じます。最後決めきれず終わるのではなく、最後取り切って終わったところにメンタル的な成長を感じています」と讃えた神谷。今大会4戦連続で5ゴールを決めているFWは「チームのために取りたいと思います」と決勝でもチームを救う仕事をして、トップチームのホームスタジアムである味の素スタジアムで歓喜を爆発させる。

[写真]延長前半9分、東京都FW神谷が決勝のヘディングシュート

(取材・文 吉田太郎)
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