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[国体少年男子]後半アディショナルタイムに追いついた山梨、延長戦で徳島下す!!

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[9.28 国体少年男子2回戦 山梨県 2-1(延長)徳島県 上富田スポーツセンター多目的グラウンド]

 第70回国民体育大会「2015紀の国わかやま国体」少年男子サッカー競技2回戦が28日に行われ、山梨県対徳島県戦は延長戦の末、2-1で山梨が逆転勝ちした。山梨は29日の準々決勝で開催県の和歌山県と対戦する。

 山梨が劇的な逆転勝ちで初戦を突破した。0-1で迎えた後半アディショナルタイム、山梨は交代出場のMF増村有哉(山梨学院高1年)の左CKをファーサイドのMF菊地開世(帝京三高1年)が頭で逆サイドのゴールネットへ同点ゴールをねじ込む。攻めて、攻めて、攻め続けて奪った執念の同点ゴール。敗戦直前で追いついた山梨は殊勲の菊地中心に喜びを爆発させた。

 0-1で前半を折り返した山梨は10分に左SB森田和樹(山梨学院高1年)のサイドチェンジからU-16日本代表FW加藤拓己(山梨学院高1年)の折り返しをMF佐藤玲央(帝京三高2年)が狙うなど同点ゴールを目指したが、なかなか同点に追いつくことができなかった。前半にクイックリスタートからMF森本瑞生(徳島ユース、2年)の左クロスをFW桒原呂偉(徳島ユース、1年)が決めて先制していた徳島は後半、押し込まれながらもポジショニングよくボールを引き出す森本や後半から投入されて思い切りの良い仕掛けを見せたU-16日本代表MF藤原志龍(徳島ジュニアユース、中学3年)にボールを預けてカウンターから追加点を狙う。MF橋本涼太(徳島市立高1年)が果敢にシュートを狙うシーンもあった。

 だが、CB結城碧生(甲府U-18、1年)やGK高橋正也(日本航空高2年)中心に相手のチャンスをつくらせない山梨は終盤、パワフルな動きでチームを引っ張る加藤に加え、CB入間川景太(甲府U-18、1年)を前線に上げて反撃。入間川が高い攻撃力を発揮して反撃を勢いづけた山梨はセットプレーから決定機をつくり、33分にはポストを叩いた菊地の左足シュートの跳ね返りをゴール前でフリーの加藤が押し込もうとするが、痛恨のシュートミスで好機を逸してしまう。

 それでもチーム内で鼓舞し合い、応援席の関係者から指示混じりの声が次々と飛ぶ中で1点を目指した山梨が見せた終了間際に追いついて延長戦に持ち込む。延長戦でも入間川が「自分が前に行ったらチャンスになっている」と直訴して再び前線に入って勝ち越しゴールを目指していく。その入間川が強引にボールを運んで右足シュートを打ち込み、この日はDFを引きつけて周囲を活用することに意識を傾けていた加藤のラストパスから、FW加々美澄生(甲府U-18、2年)が決定的なシュートを放った。徳島の172cmGK乾智樹(徳島ユース、1年)の好守に阻まれていたが、それでも延長後半4分、山梨は入間川からのパスを受けた交代出場FW山田海人(帝京三高2年)がDFとの駆け引きしながら単独で持ち込んで最後は切り返しから左足シュート。これがゴール左隅に決まり、2-1となった。

 徳島も直後に負傷明けのエースFW坂本一真(鳴門高2年)を投入するが、終了間際に藤原が放った右足シュートがブロックされて試合終了。山梨が準々決勝進出を決めた。苦しみながら掴んだ白星は選手たちが自発的に出した選手たちが勝ち取ったもの。大会直前に代行という形で指揮官に就任した土屋安晴監督(甲府東高)は入間川が前線でのプレーを主張した延長戦について、「ボクはDFに戻そうかなと思ったんですけど、コイツらが感じていることを大事にしながらやるのもありなのかなと。加藤も1点取ってからボランチの位置に入って跳ね返してくれた。(実際にプレーして得る)感度はある。いい意味で自分が感じてくれたもののを尊重してやれれば」。それぞれが自分勝手な意見を出すだけではまとまりを欠いてしまうだろうが、ピッチ内で感じた勝つための手段を選手たちが精査し、それを尊重するベンチ含めて一体となって勝ち取った白星だった。

 そして土屋監督が「粘るとか守備的なことは理解してできる。決して個々のレベルは高くないけれど、まとまって集団になって力を発揮できる」という特長も持つ山梨。結城は「優勝ですね。試合中に文句出ちゃったりとか、決定的なところで決めきれなかったりとか、このままじゃまだ足りないので、大会中に成長したいです」と誓い、躍進を遂げている開催県・和歌山との準々決勝へ向けて山田は「和歌山は(応援も多く)勢いに乗ってくると思いますけど、自分たちも山梨を背負っているので勝ち切って優勝したい」と必勝を誓った。選抜チームとしては初となる準決勝進出を懸けて山梨がアウェーで大一番を戦う。

[写真]後半アディショナルタイム、山梨は菊地(左から2人目、13番)のヘディングシュートで同点に追いつく

(取材・文 吉田太郎)
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